Armが考えるIoTの3つの課題とは、「Mbed」で可能性を広げていく:製造業IoT
ArmのIoTサービスグループ プレジデントのディペッシュ・パテル氏が来日。パテル氏は「2025年に11兆米ドルもの市場規模になるといわれているIoTだが、『デバイスの多様性』『エンドツーエンドセキュリティ』『データの適切な利用』の3つが課題になる。Mbedを中心としたソリューションにより、IoTの可能性を広げていく」と語った。
Armの日本法人であるアームは2018年5月10日、東京都内で会見を開き、「Mbed」ブランドで展開しているIoT(モノのインターネット)サービスグループの事業戦略について説明した。来日した同グループ プレジデントのディペッシュ・パテル(Dipesh Patel)氏は「2025年に11兆米ドルもの市場規模になるといわれているIoTだが、『デバイスの多様性』『エンドツーエンドセキュリティ』『データの適切な利用』の3つが課題になる。Mbedを中心としたソリューションにより、IoTの可能性を広げていく」と語った。
パテル氏によれば、現在のIoTデバイスの数はスマートフォンやPCをはじめ数十億に上るが、2035年には1兆個に達するという。「IoTから得られるデータによるオペレーションの最適化で5〜10%の効率化が可能だろう。予知保全によってダウンタイムを最小限にできれば、さらなるコスト削減も実現できる。また産業界だけでなく、政府機関などにとっても、IoTの活用で目標達成が可能になる」(同氏)。
企業がIoTに取り組む上で高い壁になっているのが、その複雑さだ。極めて処理性能が限られた小型センサーから高性能のエッジゲートウェイまで、IoTとなるデバイスの幅は広い。そしてこれらのIoTデバイスは、接続性、プロビジョニング、アップデートを含めた管理が求められ、セキュリティも確保しなければならない。さらには、クラウドだけでなくオンプレミスのシステムとの接続も必要になる。
これらの複雑さに基づくIoTの課題が「デバイスの多様性」「エンドツーエンドセキュリティ」「データの適切な利用」の3つというわけだ。Armはこれらの課題を解決するために4つの施策を用意している。既に多くの製品に搭載されているプロセッサコアIP「Cortex」、2017年から提唱しているIoTデバイス向けセキュリティアーキテクチャ「PSA(Platform Security Architecture)」、マイコンから高性能MPUまで対応するOS「Mbed OS」、IoTデバイスのクラウドへの接続性を確保する「Mbed Cloud」である。
また、企業がIoTの導入を進める際に、必ずしも現場の担当部門が組み込み機器やクラウドに関する知識を十分に有しているとは限らないことを想定し、より簡単にMbed OSやMbed Cloudを利用できるようにするための「Mbed Enables Module」を用意している。また、クラウドにつなげるMbed Cloudと同様に、オンプレミスのサーバ環境への接続を確保する「Mbed On Premises」もそろえている。
さらに、Arm1社だけでできることは限られているとして、パートナーとの協調が重要であることも強調した。半導体、ソフトウェア、セキュリティ、システム、クラウドなどの分野で多くのパートナーとの連携を進めている。
パテル氏は「既にスマートビルディング、スマートメーターなどのエネルギー関連、物流といった用途から、Mbed Cloudなどに対する引き合いが出ている」と説明する。そして、日本国内での採用事例として、GMOグローバルサインの電子認証サービスにおけるMbed Cloudの活用などについて紹介した。
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