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売上高1兆円を目指す日立のインダストリーセクター、強みは「一体運営」にあり:製造マネジメントニュース(4/4 ページ)
日立製作所の「Hitachi IR Day 2019」において、同社 執行役副社長 インダストリー事業統括本部長の青木優和氏が登壇。2019〜2021年度の中期経営計画を推進する5つのセクターの1つである、インダストリーセクターの事業戦略について説明した。
ロボットSI事業の拡大に期待
さらなる成長に向けたグローバル展開としては、2019年3〜4月に発表したロボットインテグレーター2社の買収をきっかけとしたロボットSI事業の拡大に期待がかかる。青木氏は「ロボットSI市場は2018〜2023年の年平均成長率が10%以上。自動車、航空機、eコマース、医療機器などさまざまな成長ドライバーと事業機会に恵まれている」と語る。
特に北米で買収したJRオートメーション(JR Automation Technologies)のロボットSI事業は、Lumadaやサルエアーの事業などとの大きなシナジーが見込める。インダストリーセクターの北米市場における売上高規模は2018年度が約730億円だが、2021年度には2000億円まで伸ばしたい考えだ。
また、青木氏は「今後も必要であればM&Aを進めて行く。2019〜2021年度の3年間トータルで、最大5000億円レベルまでの成長投資を行う可能性がある」と述べる。
これらトータルシームレスソリューションの強化拡大、北米を中心とするグローバル展開の加速により、2021年度のインダストリーセクターの売上高1兆円を目指す。調整後営業利益率は9.1%を見込むが、「さらなる成長投資を加味したストレッチ目標として10%を目指したい」(青木氏)としている。
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