超微小量センシング技術で「見える化」、Society 5.0の構築に貢献:組み込み開発ニュース
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、未来社会「Society 5.0」の構築に貢献する超微小量センシング技術に関して、4つの研究テーマを採択した。これまで活用できなかった超微小な測定量を「見える化」し、新しいサービスの創出を目指す。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2019年5月13日、未来社会「Society 5.0」の構築に貢献する超微小量センシング技術に関して、4つの研究テーマを採択したと発表した。
Society 5.0は、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く未来社会のこと。仮想空間と現実空間を革新的なセンシング技術で高度に融合させ、社会課題を早期に解決し、新産業を創出する社会を指す。
超微小量センシングは、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーを中心に、超微小な圧力や濃度などこれまで有効な情報として活用できなかった測定量を「見える化」するもの。今回の採択により、小型軽量、省エネルギーかつ低コストで安定的に超微小量を検出可能な技術を開発する。
採択した4つの研究テーマは以下の通り。開発事業期間は2019年度から2023年度までとなっている。
1つ目のテーマは、「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発」。超微小量の血糖や血中脂質などを常時モニタリングする機器を開発し、三大疾病に含まれる心疾患、脳血管疾患のリスク要因となる糖尿病や高脂血症、肥満の飛躍的な解消に役立てる。タニタや富山県立大学らが参画する。
2つ目は、東京医科歯科大学とNMEMS技術研究機構が実施する「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発」だ。疾病や代謝に伴い発生する極少量の生体ガスは、疾病検査や早期診断に有効な揮発性バイオマーカーとなる。次世代の健康IoT(モノのインターネット)社会の構築に向け、この生体ガスを、高感度かつ連続的に計測できる小型ウェアラブル計測端末を開発する。
3つ目の「1分で感染リスクを検知可能なウイルスゲートキーパーの研究開発」では、社会問題となっているウイルス感染症のうち、特にインフルエンザとノロウイルス感染症について、簡便で非侵襲的に検査可能なウイルスゲートキーパー(門番)を開発する。これにより、ウイルス保有の可能性のある人が、高齢者施設や食品工場などに入るのを防ぐ。参画機関は、産業技術総合研究所、コニカミノルタなど。
4つ目は、大阪大学、神戸大学らが参画する「次世代公共インフラ実現へ向けた高密度センサー配置による微小量信号計測技術の研究開発」。振動などの超微小物理量を検知するシート型の高感度センサーやマルチセンサーシステムを開発し、電柱や街路灯などへ実装する。これらを、災害時には被災状況、避難経路の通行障害、要救助者の存否確認などに活用し、平常時には人や車の流れ、災害予兆などの把握に生かすことで、地域社会の安全に貢献する。
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