Society 5.0によって目指す「超スマート社会」、人工知能やIoTで実現できるのか:SIPシンポジウム2016(1/2 ページ)
東京都内で開催された「SIPシンポジウム2016」に、日本学術振興会 理事長で、人工知能技術戦略会議 議長を務める安西祐一郎氏が登壇。「AI、ビッグデータ、IoTの研究開発とSociety 5.0の実現」と題した講演を行った。
内閣府は2016年10月4日、東京都内で、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の成果などを発表する「SIPシンポジウム2016」を開催。基調講演には、日本学術振興会 理事長で、人工知能技術戦略会議 議長を務める安西祐一郎氏が登壇し、「AI、ビッグデータ、IoTの研究開発とSociety 5.0の実現」と題した講演を行った。
安西氏が挙げたSociety 5.0とは、2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」における、世界に先駆けた「超スマート社会」の実現を目指すさまざまな取り組みの総称である。モノづくり分野を中心に進みつつあるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の活用を、その他のさまざまな分野に広げて経済成長や健康長寿社会の形成、そして社会変革につなげていくことを目的としている。
Society 5.0の中核となる技術として挙げられているのが、人工知能(AI)、ビッグデータ、そしてIoTだ。これらのうちAIについては、2016年4月に総理大臣の安倍晋三氏が創設の方針を示した人工知能技術戦略会議により、産官学の叡智(えいち)を集め縦割りを排した研究開発が進められることになっている。安西氏は、同会議の議長であり、国内のAI開発や、AIが重要な役割を果たすであろうSociety 5.0に向けた取り組みにおける最重要人物の1人となる。
安西氏は、ニューヨーク6番街(マンハッタン)と霞が関の市中の写真を示しながら、「この違いをどう考えるかがSociety 5.0の実現と大きく関わってくる」と語る。
ニューヨーク6番街は、さまざまな服装の人々がいるのに対して、霞が関はほとんどがスーツやコート姿のビジネスマンである。「Society 5.0における超スマート社会とは、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、いきいきと快適に暮らすことのできる社会。つまり、社会に多様性と柔軟性が求められる。しかし、この写真比較を見れば分かる通り、多様性と柔軟性は日本になかった」(同氏)。
続けて安西氏は「AIやビッグデータ、IoTなどのITを導入しても、社会が変わらなければSociety 5.0にはなり得ない。社会が変わって、それをITがサポートするという形でなければならない」と強調した。
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