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「つながり」が実現する超スマート社会、日立が目指す「Society 5.0」製造業IoT(1/2 ページ)

10月7日まで開催されたCPS/IoT展「CEATEC JAPAN 2016」の基調講演で登壇した日立製作所 代表執行役 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏は「業種を超えて超スマート社会の実現に取り組みたい」と述べた。

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 2016年10月4〜7日に千葉県千葉市の幕張メッセで開催されたCPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)展「CEATEC JAPAN 2016」の基調講演に日立製作所(以下、日立)代表執行役 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏が登壇。「デジタル技術を活用した社会イノベーション」をテーマに、日立製作所が取り組むIoTや人工知能、デジタル化の進展に伴う社会の変化について講演した。

イノベーションの種は社会課題

 2030年には地球の人口は85億人に達する予測である。そのうち51億人は都市に住み、そこでは交通渋滞、エネルギー不足などの問題が発生する。現在、65歳以上の高齢者の人口比率が20%を超える国は、日本、ドイツ、イタリアの3カ国だけだが、2030年には34カ国に達する見込みだ。医療・介護の費用が増大し、またそれを支える人材はどう確保していくのかも社会的な課題となる。さらに、グローバル化の進展により、セキュリティの問題もより深刻化するだろう。

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日立製作所 代表執行役 執行役社長兼CEOの東原敏昭氏

 世界中がこうした多くの課題を抱える中、東原氏は「イノベーションを創出する大きなチャンスと捉えたい。既にこうした潮流を捉えてビジネスへと変えていった事例も数多い」と指摘する。その実例として「Uber」(ライドシェア×決済)「Airbnb」(宿泊場所×シェアリング)などの実際のサービスを紹介。さらに「オムニチャンネル」(接客×販売チャンネル×物流)や「FinTech」(IT×金融サービス)などの潮流もこうした動きを象徴するものだと強調する。

 東原氏は「顧客の要望がモノの提供からサービス(コト)の提供へと変わり、さらに専有からシェアへ、クローズからオープンへ、個別最適から全体最適へと変化する傾向が見られる中、こうした潮流をビジネスに取り入れたことが成功の要因である」と述べる。さらに「こうした動きはセンシングの技術、ロボティクス、ビッグデータ、人工知能、セキュリティなどのデジタル化の進展で加速する」と語る。

超スマート社会「Society 5.0」の実現

 内閣府の第5期科学技術基本計画では、超スマート社会「Society 5.0」が明記された。「Society 5.0」(狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ5番目の社会として超スマート社会を置く考え方)は、年齢、性別、地域、言語などの違いを乗り越えて、あらゆる人が質の高いサービスを受けて、イキイキと快適に暮らせる社会と定義されている※)

※)関連記事:Society 5.0によって目指す「超スマート社会」、人工知能やIoTで実現できるのか

 この社会は「高度道路交通システム」「エネルギーバリューチェーン」「新たなものづくりシステム」「地域包括ケアシステム」「インフラ維持管理・更新」「自然災害に対する強靭な社会」「おもてなしシステム」「地球環境情報プラットフォーム」「総合型材料開発システム」「スマート生産システム」「スマート・フードチェーンシステム」という11のシステムにより構成されている。ただそこでは、企業だけでなく1人1人がイノベーションに参加することで社会課題の解決と経済発展が両立すると考えられている。

 超スマート社会を実現するにはさまざまなサービスが「つながる」(連携、協調)という全体最適が重要で、そのためにはフィジカル空間とサイバー空間を高度に融合させるCPSや、IoTの活用、さらにオープンイノベーションが鍵となる。

 CPSやIoTはフィジカル空間にあるさまざまなデータをサイバー空間で解析、融合し、新たな価値の創出によって実世界にフィードバックすることで社会課題を解決するものだ。高度なモデリングの技術により、多面的にフィジカル空間の影響をシミュレーションできるようになってきた。日本では技術者のレベルが高く、機器の稼働が正確なため質の高いデータが取得できるという特徴があり、世界の中でも特に活用しやすい環境にある。

 オープンイノベーションは、デジタルイノベーション創出のため、1つの組織にとどまらず産官学などが連携して推進していく取り組みのことだ。既に「IoT推進コンソーシアム」「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」などが設立されている。JEITA(電子情報技術産業協会)でもCPS/IoTの社会実装推進による社会課題解決に向けた活動を実施している。

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