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経験則に頼らない根拠ある設計を提案できる「設計者CAE」の活用メリットママさん設計者が教える「設計者CAE超入門」(2)(3/3 ページ)

かつて2次元大好き信者だった筆者が“CAEの重要性”に気が付いた経緯を踏まえつつ、話題の「設計者CAE」の基本的な考え方について解説する連載。第2回は、なぜバリバリの2次元信者だった筆者が“CAEの必要性”を痛感したのか? その決め手となった当時の心境の変化、意識の変遷について掘り下げる。

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筆者が初めて感じた、設計者CAEの活用イメージ

 筆者が初めて設計者CAEを試したときにイメージできた活用シーンは、「お客さまに対し、設計の妥当性を解析レポートで提示して信頼を得る」ということでした。

 筆者が作る製品の多くは、電子部品の生産現場向けの治具で、他にはたまに人間が頭を突っ込んで操作するような装置モノも設計しています。どれも「ワンオフ(専用品)」なので、毎回の流れは、打ち合わせで生産現場に入らせていただき、その場で必要なスケッチをして、それを設計と呼べる水準になるまで手書きで整理してからモデリングし、その次に仕様説明と提案。そして、それが通れば晴れて受注となるわけです。

 打ち合わせ時に、お客さまから「ここに○○kgのワークをつり下げて使いたい」や「油圧を使って挟んで固定したいから、変形しない作りにしてほしい」といった注文を受けた場合、以前はどの程度変形するのかを経験則とそれを補う計算に頼るだけだったので、クレームが起きないように「盛る」傾向にありました。もしも当時の仕様をCAEにかけたら、不要なパーツや板厚などのムダが多く、結構大きな値の安全率が出るんだろうなぁ……と思います。

 その後、設計者CAEを理解したことで、設計と解析を同時進行させながら机上で製品を作り込むことを覚え、誰の目にも明らかな解析レポートという根拠を用意できるようになりました。

 設計後の提案時にこのレポートをお客さまに提示することで、「ご覧の通り要求されている耐荷重を満たしています」「把握力○○Nまでであれば変形の心配がありません」と自信を持った提案ができるようになります。それによって、信頼を得て受注につながれば、設計者CAEが使えることは設計でも営業でも大きな強みになります。もちろん、見積もりをするときには、CAEの手間を織り込むことも忘れないようにしてください……。(次回に続く)

Profile

藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)

長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンタ加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。

・筆者ブログ「ガノタなモノづくりママの日常」



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