エッジ強化を再度打ち出したシーメンス、マインドスフィアは段階別提案へ:ハノーバーメッセ2019(2/2 ページ)
ドイツのSiemens(シーメンス)は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、新たに「インダストリアルエッジデバイス」などエッジ領域の再強化に乗り出す方向性を打ち出した。また産業用IoTのOSを目指すIoT基盤「MindSphere(マインドスフィア)」は段階別提案を強化する方針を訴えた。
マインドスフィアは段階別に事例を紹介
IoT基盤のマインドスフィアについては、専用コーナーを用意。幅広いパートナーシップやアプリケーションなどが既にそろいつつあることから、ハノーバーメッセ2019ではあらためて、「接続と可視化」「分析と予知」「デジタル化とビジネス変革」という3つの導入レベル別の提案を行い、それぞれの事例を紹介した。
「デジタル化とビジネス変革」の事例では、スウェーデンのベアリングおよびメカトロニクスメーカーであるSKFの取り組みが紹介された。同社製の機器に振動センサーなどを設置しこれらの情報を常時取得。そのデータを基に予兆保全に取り組む他、計画保全を進め、これらを機器の販売ビジネスからサービスビジネスへと切り替える取り組みを進めている。この基盤としてマインドスフィアを活用したという。
マインドスフィアのパートナーシップなども順調に拡大。「パートナーの数はグローバルで500社以上、日本で約60社となっている」(シーメンス(日本法人)デジタルファクトリー/プロセス&ドライブ事業本部 クラウド・アプリケーションソリューション部 部長の角田裕也氏)。各地域でこれらのパートナー間の連携を実現する「Mindsphere World」もドイツの他、ベルギー、イタリア、シンガポール、韓国で立ち上がっており、日本でも2019年中に開始する予定だとしている。
アプリ数も順調に拡大し、2018年初旬では「2桁のアプリ数だったが、今は数百まで拡大している」(角田氏)とする。「数年前と状況は大きく異なり目的がはっきりした形で話をもらうケースが増えている。それぞれの個別のニーズに適合するような形で対応の幅を広げていくことが大事だ」と角田氏は述べる。今後は地域別、業種別、段階別などのそれぞれにより最適な形で提案できるようにさらに体制整備を進めていく方針である。
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