データ抽出から可視化まで、ワンストップで提供するクラウドBIプラットフォーム:製造ITニュース
インフォアジャパンは、クラウドBIプラットフォーム「Birst」を日本市場で提供開始することを発表した。
クラウドBIプラットフォーム「Birst」の国内販売開始
米Inforの日本法人インフォアジャパンは2019年4月12日、クラウドBIプラットフォーム「Birst」を日本市場で提供開始することを発表した。製品単体での提供の他、同社の業界特化型クラウドERP「Infor CloudSuite」のオプション機能(Birst for CloudSuite)として提供される。先行して提供開始された海外では、既にさまざまな業種で多くの採用実績を誇るという。
Birstは、2017年にInforが買収したクラウドBIプラットフォームで、同社が掲げる「プラットフォーム」「インダストリー」「クラウド」「ネットワーク」「アナリティクス」「AI」の“6層の製品戦略”のうち、アナリティクス層を担う新製品として位置付けられている。
オンプレミスからパブリック/プライベートクラウドまで、あらゆるデータソースからのデータ抽出および準備、レポート設計、可視化といった一連のプロセスをワンストップで提供するプラットフォームである。また、Birstはマルチテナント方式のスケーラブルなクラウドアーキテクチャで構築されており、エンタープライズレベルでの使用が可能だという。
エンタープライズBIとセルフサービスBIの特長を兼ね備えたプラットフォーム
Birstの特長として、部門ごとに管理されている分析データモデルを連携させて、データの重複管理を必要とせずに、企業全体にまたがる分析が可能な「ネットワークBI」というコンセプトを基に設計されている点が挙げられる。
同社 ソリューションコンサルティング本部 本部長の石田雅久氏は「Birstは、企業内で中央管理された『エンタープライズBI』と、部門管理された『セルフサービスBI』の双方の特長を兼ね備えている」と語り、分散管理される部門単位でのセルフサービス分析だけではなく、組織全体における分析にも対応し、さまざまな規模や業種における企業ニーズに応えることができる点を強調した。
Birstのアーキテクチャは、さまざまな顧客データが存在する「エンタープライズデータ層」、そこから収集したデータを解析し、分析できる状態(重複排除やセキュリティ担保も含め)にする「ハイパフォーマンスデータ層」、そしてダッシュボードによる可視化などを可能にする「プレゼンテーション層」からなる。石田氏はその中から特長的なものとして、ハイパフォーマンスデータ層の「オートデータリファインメント」と、プレゼンテーション層の「スマートアナリティクス」の2つを挙げた。
オートデータリファインメントはハイパフォーマンスデータ層に位置し、複数のデータソースからメタデータを解析して、分析に必要なデータモデルを自動生成する。「顧客側が管理するデータベースに対して、Birstがテーブル構造やテーブル間のリレーションなどを解析して、分析に必要な切り口のデータ構造に自動変換してくれるイメージだ」(石田氏)。
一方、スマートアナリティクスは最上位のプレゼンテーション層に位置し、分析結果から洞察を得たり、原因と結果の相関関係を発見したり、予測分析を行ったりするのに役立つビジュアライゼーションおよびダッシュボードの自動生成を行う。オンラインやオフライン、デバイスの種類を問わず、どこからでもアクセスできるのが特長だという。
同日行われた記者説明会では、デモンストレーションとしてBirstで構築したダッシュボードの編集作業の様子を披露。ユーザー自身が簡単にグラフ表示を変更したり、新たなグラフをダッシュボードに追加できる様子を実演して見せた。
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