検索
インタビュー

ウェディングケーキとクラウドERPのおいしい関係、一番上のトッピングはAI製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

業界特化でERPを展開する「マイクロバーティカル」を特徴とするインフォアは、クラウドERPの「Infor CloudSuite」にAIプラットフォーム「Coleman」を追加した。Coleman投入の狙いなどについて、インフォアで研究開発部門の最高責任者を務めるソマ・ソマスンダラム氏と、インフォアジャパン社長の三浦信哉氏に話を聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 製造業に用いられるITツールには、設計者が扱うCADやCAEから、生産に関わるPLMやMESなどさまざまなものがある。しかし、製造した製品の出荷や在庫管理といった企業の基幹業務との連携を図る上でERPも欠かせないITツールだ。

 国内の製造業に広く採用されているERPのベンダーの1つにインフォア(Infor)がある。同社は、業界に特化する形でERPを展開する「マイクロバーティカル」を特徴としている。そして2017年7月には、近年注力を続けているクラウドERPの「Infor CloudSuite」にAI(人工知能)プラットフォーム「Coleman」を追加した。

 Coleman投入の狙いなどについて、インフォアで研究開発部門の最高責任者を務める、グローバル・プロダクト・ディベロップメント担当エグゼクティブバイスプレジデントのソマ・ソマスンダラム(Soma Somasundaram)氏と、2017年10月に日本法人インフォアジャパンの社長に就任した三浦信哉氏に話を聞いた。

インフォアのソマ・ソマスンダラム氏(左)とインフォアジャパンの三浦信哉氏(右)
インフォアのソマ・ソマスンダラム氏(左)とインフォアジャパンの三浦信哉氏(右)


 インフォアの競合となるERPベンダーとしてはSAPやオラクル(Oracle)の名前が挙がる。ソマスンダラム氏はこれら競合企業の違いについて、Infor CloudSuiteの構造を使って説明する。「競合と大きく異なるのは、このウェディングケーキのような階層構造になるだろう。そして、一番下にある基礎となる階層が業界特化になっているのでマイクロバーティカルを着実に展開できるわけだ」(同氏)。特に、ハイテク、エレクトロニクス、航空宇宙、防衛、産業機械、自動車といった組み立て製造業については、共通する技術が多いこともあり、各業界への特化がしやすいという。

「Infor CloudSuite」の階層構造
「Infor CloudSuite」の階層構造。一番下の基礎となる階層が業界(Industry)特化になっている(クリックで拡大) 出典:インフォア

 この業界特化の階層の上に、クラウド、ネットワーク、アナリティクス、そして最新製品であるAIのColemanの順番で重なっている。

 クラウドについてはAWSがパートナーになっている。ソマスンダラム氏は「当社は、競合他社とは異なりデータベース(DB)を手掛けていない。ビジネスアプリケーションの開発に注力しているのでOSS(オープンソースソフトウェア)をより多く利用でき、コストも下げられる。AWSをうまく活用できているのではないか」と説明する。

 サプライチェーンの管理に関わる機能がネットワークだ。かつては、製造、流通、販売といったサプライチェーンの80%を自前で行っていたが、逆に現在は80%を外部に委託するようになっており、その分だけサプライチェーン管理は重要になっている。「ボーイングの『B787』は好例といえるだろう」(ソマスンダラム氏)。

 分析ツールであるアナリティクスについては、一部の人が戦略的に使うものではなく、全ての人が使うべきものだという考え方に基づいて開発している。ソマスンダラム氏は「人は毎日、判断と決定を繰り返している。そこで、分析ツールの助けがあればよりよい判断と決定につながる」と述べる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る