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これは“空飛ぶじゅうたん”か、浮遊型搬送システムと関連技術を訴えたベッコフハノーバーメッセ2019(2/2 ページ)

ドイツのBeckhoff Automation(以下、ベッコフ)は、ハノーバーメッセ2019(2019年4月1〜5日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において、“浮遊して運ぶ”リニア搬送システム「Xplanar(Xプラナー)」を紹介。同システムのために開発した高速通信技術「EtherCAT G」や機械学習機能を採用したソフトウェアPLC技術「TwinCAT Machine Learning」などの関連技術をアピールした。

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「XPlanar」を支える「EtherCAT G」と「TwinCAT ML」

 新たな搬送を実現する「XPlanar」だが、これを支える技術として注目を集めているのが「EtherCAT G」と「TwinCAT ML」である。

 従来の「EtherCAT規格」が100Mbpsの通信速度だったのに対し、「EtherCAT G」は1Gbps、10Gbpsという高速、大容量通信に対応。高速性能以外の機能はEtherCATと同様でそれぞれを接続することも可能である。例えば、「EtherCAT G」規格を幹線ネットワークで使用し、スレーブに当たる部分では「EtherCAT」を分岐させて使うことも可能である。

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EtherCAT Gの接続イメージ。高速、大容量通信が必要な幹線の通信やカメラなど映像を使う通信はEtherCAT Gでつなぎ、それ以外はEtherCATで接続するような使い方ができる(クリックで拡大)

 この「EtherCAT G」の高速、大容量通信機能を活用して実現しているのが「Xplanar」である。「Xplanar」で浮遊する可動部を高速高精度で動かすためには、平面タイルのコイルで生まれる電磁力を高精度で制御する必要がある。平面タイル内の多くのコイルを同時に高精度で制御するには、余裕のある帯域が必要となる。そこで「EtherCAT G」が必要になるというわけである。

機械学習機能を搭載した「TwinCAT」

 もう1つが、機械学習機能を搭載したソフトウェアPLCの「TwinCAT ML」である。現在展開中の「TwinCAT 3」に機械学習(ML)機能を搭載。リアルタイムで機械学習を支援し、複雑なモーションコントロール動作などを簡単に学習し活用できるようになる。作成したモデルについては「ONNX(Open Neural Network Exchange)」への対応により、深層学習のさまざまなフレームワーク間で受け渡しが可能。2019年末にグローバルで提供開始予定だという。

 「TwinCAT ML」のデモとして示されたのが、一定間隔でない可動部が1つは反時計回り、1つは時計回りで回転し、真ん中の柱に書かれた一定間隔の目盛りの部分だけはそれに合うように制御するというものだ(写真)。機械学習により一定間隔で流れていれば電力使用量も少ないが、機械学習などなしの場合であれば、上から下へは急いで回転させて下側で蓄積する状況になる。この急いで回すという状況が電力使用量の上昇を招くことになるという。

photophoto TwinCAT MLの効果を示すデモ(左)と電力資料量の比較(右)(クリックで拡大)

 先述した通り、「Xplanar」は高速で複雑な動きを行うので、これらのプログラムも複雑となる。1つ1つをプログラムしていたら大きな負担になり、とても「Xplanar」を有効活用できるようにはならない。そのため、これらを簡略化するために「TwinCAT ML」が必要になるということである。

 ベッコフ日本法人の川野氏は「ありたい姿や実現したい世界があり、それに対して必要な技術を開発するだけではなく、開発した技術をオープンな形で開放したり、ライセンス契約により外部提供したりするというのが非常にベッコフらしい動きだ」と述べている。

≫ハノーバーメッセ2019特集はこちら

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