乱立する製造IoT基盤は連携する時代に、IVIが製造データ連携フレームワーク披露:IVI公開シンポジウム2019春(1)(2/2 ページ)
「つながる工場」実現に向け、製造業、製造機械メーカー、ITベンダーなどが参加するIndustrial Value Chain Initiative(IVI)は2019年3月14〜15日、都内で「IVI公開シンポジウム2019-Spring-」を開催。その中で、DMG森精機、日立製作所、ファナック、三菱電機とともに、共同開発してきた、プラットフォーム間で製造データを自由に流通させられるフレームワーク「コネクテッドインダストリーズオープンフレームワーク(CIOF)」の実証成果を披露した。
DMG森精機、ファナック、三菱電機の実証への取り組み
今回のシンポジウムでは、DMG森精機の「ADAMOS」、ファナックの「FIELD system」、三菱電機などが展開する「Edgecross」などを活用した実証などを推進した。具体的にはDMG森精機と東芝デジタルソリューションズ、ファナックと富士通、三菱電機とNECなどが協力して、「CIOF」によるシステム連携を実現し、実証を行った。
ファナックと富士通では、部品の受発注と品質検査などの情報を、「CIOF」を通じて自動的にデータ連携できる仕組みを実証した。発注側のシステムは富士通の「COLMINA」、受注側のシステムはファナックの「FIELD system」である。
三菱電機とNECでは、「CIOF」を用いたロット検収データの送受信などのデモを行った。これは大手メーカーがサプライヤーに持ち込み品などを送り、サプライヤーが加工を行うということをイメージした。メーカー側がNECのシステム、加工側が三菱電機のシステムとなっている。
メーカー側が作業指示書を送り、それを基に製造現場の各工程が動くという流れ。その作業実績情報などを「CIOF」を通じて、メーカー側のシステムに送るというものだ。
その他、DMG森精機と東芝デジタルソリューションズでは加工情報を共有するデモを行った。IVI 理事長の西岡靖之氏は「CIOFは限定された環境での活用は実証できた。今後はより実務環境に近づけていく」と述べている。
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