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長瀬産業とIBM、マテリアルズインフォマティクス基盤を共同開発:製造IT導入事例
長瀬産業とIBMは、化学、バイオ素材メーカー向けに、マテリアルズインフォマティクス(MI)のプラットフォームを共同開発する。AIや高速データ処理システムを活用し、新しい材料や代替材料を探索する。
長瀬産業は2019年2月21日、IBMと共同で化学、バイオ素材メーカー向けにマテリアルズインフォマティクス(MI)のプラットフォームを開発すると発表した。主に日本国内のメーカーを対象とし、2020年度のサービス提供開始を目指す。
今回開発するプラットフォームでは、AI(人工知能)や高速データ処理システムを活用する。「コグニティブアプローチ」と「アナリティクスアプローチ」という2種類の手法を利用し、新しい材料や代替材料を探索する。
コグニティブアプローチでは、素材に関する膨大な文献や実験データをAIが読み込み内容を理解して体系化、ユーザーが必要とする新材料を推測して提案する。アナリティクスアプローチでは、膨大な物質の化学構造と物性値の関連性を学習し、ユーザーが求める物質の化学構造式を提示する。どちらのアプローチでも、企業が蓄積してきた開発データを活用して独自の新規材料を開発可能になる。
同社によると、この2種類のアプローチを同時利用して新規材料を発見できるプラットフォームは国内初になるという。また、プラットフォームはIBMクラウド上に構築され、ユーザー企業からの提供データは機密性が保たれたプライベートクラウド上で管理する。
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