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単一BOMで全社混乱した悲劇をなくすために、サンデンが挑むPLMの導入:製造IT導入事例(2/2 ページ)
PTCジャパンは2019年3月7日、プライベートイベント「PLMフォーラム2019 Spring」を開催。同社製PLMシステム「Windchill」の導入を現在進めているサンデン・リテールシステムが事例講演を行い、PLM導入の勘所を説明した。
PLMの導入プロジェクトも一筋縄でいかない
同社は現時点でPLMを導入構築中であるため現在も開発から現場の保守まで単一のBOMを使用しているとするが、「今の状況は全ての部門で多くの無駄がある」(久保田氏)。この課題を解決すべく久保田氏は全社に対して改革の声を上げ、同社は2017年7月からPLM導入プロジェクトを発足させる。
一方で、PLMの導入も簡単には進まなかった。当初、同社ではPTCの「Windchill」でない他社ベンダーのPLM導入を計画していた。しかし、同ベンダーがサービスBOMに対して甘い認識であること、海外工場のローカルスタッフとベンダーのコミュニケーションが不十分であることといった不安点が見え始める。
そのような状況でPLMベンダーの再選定を実施し、「グローバルに強くスピード感がある」(久保田氏)PTCを選んだという。また、前ベンダー時の導入スケジュールでは全社展開を2020年6月から開始と定めていたが、現在では1年前倒しした2019年6月ごろから運用開始する予定だ。久保田氏は「プロジェクトメンバーとPTCの多大な協力があったからこそ」と感謝を述べた。
講演の最後に、久保田氏は「PLMの導入は単にシステムを入れるということではなく、仕事のやり方を変えることだ」と考えを述べる。「このプロジェクトが絶対に成功すると確信している」と語り、講演を締めくくった。
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