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単一BOMで全社混乱した悲劇をなくすために、サンデンが挑むPLMの導入製造IT導入事例(1/2 ページ)

PTCジャパンは2019年3月7日、プライベートイベント「PLMフォーラム2019 Spring」を開催。同社製PLMシステム「Windchill」の導入を現在進めているサンデン・リテールシステムが事例講演を行い、PLM導入の勘所を説明した。

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 PTCジャパンは2019年3月7日、プライベートイベント「PLMフォーラム2019 Spring」を開催。同社製PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)システム「Windchill」の導入を現在進めているサンデン・リテールシステムが事例講演を行い、PLM導入の勘所を説明した。

単一BOMが生み出した悲劇

 サンデン・リテールシステムはサンデンホールディングスで流通システム事業を担当する事業子会社。コンビニエンスストアチェーンや飲料メーカー向けに、食品ショーケースやコーヒーマシン、自動販売機などを提供する。群馬県前橋市やアメリカ、中国、ドイツなどに工場を保有し、「使う場所で造る」のモットーのもとグローバル体制を構築している。


サンデン・リテールシステムの久保田顕氏

 講演を行った同社 常務執行役員 事業工場長の久保田顕氏は、自身のキャリアを振り返りつつBOM(Bills of Materials:部品表)体系整備の必要性を3つの経験を紹介した。

 1つ目の出来事は久保田氏が電子部品事業の製造課長を務めていたときに起こった。電子部品ではテープによってパッケージングされる場合が多いが、同社では極性がある電子部品をテーピングの巻き方によって図番(品番)を設定していたという。久保田氏は「1つの部品に対して図番が幾つもあった『異番同体』の現象が発生していた。この現象が何を起こすかというと、同じ部品の在庫を増やすことになる」と説明する。

 また、左巻きのテーピング部品が不足した場合でも、本来は同じ部品である右巻きのテーピング部品を使うことで解決できる。しかし、これまでの同社では「そういう発想にならず、右巻き部品の在庫が余っている場合でも左巻き部品を一生懸命探していた」(久保田氏)状況だった。この状況は製造部門の努力により現在は改善されたとするが、「状況を是正するのに非常に時間がかかった」という。


異番同体の部品により在庫と欠品リスクがどちらも増える(クリックで拡大) 出典:サンデン・リテールシステム

 2つ目の出来事は久保田氏が米国に赴任していたときに起こった。自動販売機を生産する米国テキサス州ダラスの同社工場で過剰在庫が当時問題となっていたが、久保田氏が工場倉庫を調査したところ「それほど在庫の数は多くなかった」(久保田氏)とする。そこで現地スタッフに詳しく聞き取り調査を行うと、工場敷地にはトレーラーの4フィートコンテナが並べられ、その中に完成品が出荷待ちの状態で入っていたという。

 この状況は、部品加工から組み立てに至るまで生産を連続的に行っていたことが原因だった。連続的な生産を行っていた理由として、久保田氏は「われわれは単一のBOMで部品から製品まで生産計画を立てていた」と述べ、「リードタイムも7日間発生しており、そのために在庫が多かった」と当時の状況を振り返った。

 この状況を改善するため、生産品目の共通部分をユニット化するとともに、生産計画でカンバン方式を採用。スーパーマーケットである程度の在庫を確保し、組み立てラインでカスタマイズに対応することで、リードタイムを1日に削減するとともに在庫も減少させた。


単一BOMにより生じたリードタイムの長期化(クリックで拡大) 出典:サンデン・リテールシステム

 3つ目の出来事は、リーマンショック後に届いたサプライヤーからのディスコン通知に起因する。製品に採用していた電子部品が生産中止の対象となったため、同社は代替部品への変更を余儀なくされるが、そこで問題が発生した。「われわれのBOM構成では製品から部品まで全てひもづいているため、電子部品を1つ変えるとその上の組み立て部品も変わってしまう」(久保田氏)ことで、膨大な図番の改廃作業が発生した。

 さらに、改廃作業への対応が追い付かなくなった結果、図番を変更せずに部品のみ変更するといった改廃ルールを無視する事象が起こった。1つの図番に対して2つの異なる部品が割り当てられた二重図番の存在によって、「調達から製造、サービスに至るまで大規模な混乱が発生」(久保田氏)。「この解消にも多くの労力をかける必要があった」とし、久保田氏はBOMの体系整備を最重要課題として取り組み始める。


単一BOMにより二重図番が発生、全社的な混乱へ(クリックで拡大) 出典:サンデン・リテールシステム
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