アズビルが設計開発力の強化を目指し、PLMシステムを導入:製造IT導入事例
新日鉄住金ソリューションズは、アズビル向けにPLMシステムを構築した。アズビルでは、全社標準の設計開発基盤が整ったことで組織間での人材流動性が高まり、開発支援体制が強化された。
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)は2017年12月1日、アズビル向けにPLMシステムを構築したと発表した。
アズビルは、工場やプラント向けの制御機器、計測機器などを開発・製造している。同社では、事業部ごとに業務プロセスが異なり、部品表(BOM)が別々に作成されるなどの課題があった。これらを解決するため、製品開発や設計に関わるプロセスの全社標準化や情報の一元化、プロセスを改善する設計基盤の検討を始めた。
PLMパッケージは、3D CAD製品との連携やグローバル規模でサポートが充実している点から、PTCの「Windchill」を選定。開発パートナーには、Windchillの構築実績が豊富な点を評価し、NSSOLを採択した。
NSSOLは、製造業向けのPLMシステム構築・導入サービス「NSBeats」によって同パッケージの導入を支援。Windchillの標準機能をできるだけ使用する方向で支援したところ、標準機能の適用率を99%まで高めることができた。
2016年1月から本件の業務設計を開始し、2017年5月にアズビルの新システム「ACES(Azbil Common Engineering System)」としてサービスイン。アズビルでは現在、世界の生産拠点で約2000人が使用しており、全社標準の設計開発基盤が整ったことで組織間での人材流動性が高まり、開発支援体制が強化された。
また、事業部内で管理していたドキュメントやデータを全社で一元管理できるようになり、業務効率向上のために活用可能になった。今後、リードタイムの短縮や製品の品質向上、市場ニーズへの迅速な対応も可能になると見ている。
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