紙で作るフルカラー3Dプリンタ、安くて造形物も可燃物として捨てられる:DMS2019
伊藤忠マシンテクノスは、「第1回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、紙を材料に使うMcor Technologies製の3Dプリンタ「ArkePro」を披露した。
伊藤忠マシンテクノスは、「第1回 次世代3Dプリンタ展」(2019年2月6日〜8日、東京ビッグサイト)に出展し、紙を材料に使うMcor Technologies製の3Dプリンタ「ArkePro」を披露した。
紙で作る3Dプリンタ
今回出展したMcor Technologies製の3Dプリンタ「ArkePro」は材料にロール製の紙を使うことが特徴だ。紙を積み重ねることで造形する。3Dプリンタでは樹脂や金属を使うものが多かったが、紙で作ることで材料費を抑えることなどが可能となる他、着色が容易でフルカラーの造形物を簡単に作ることができる。
紙の厚さは0.1mmとなり、それが積層ピッチとなる。積層時には切れ込みを入れて積層し造形したワークは直方体の形状で造形される。その後、外から剥いていくと、設計したワークが姿を現す。
価格は「350万円前後」(伊藤忠マシンテクノスの産業機械二部 部長代行の門脇徹志氏)で、伊藤忠マシンテクノスを通じて2019年4月頃から販売を開始する予定だという。材料費は15×15×5cmの仮面形状のサンプルで「3000〜4000円程度」(同氏)とする。造形時間は同サイズで「7〜8時間程度」(同氏)としている。
門脇氏は「紙を使う利点は、材料費などが安く、着色が容易である点だ。さらに造形物も可燃物として簡単に捨てられるので、さまざまな使い道があると考えている。通常の試作用途の他、医療用途や新たなサービスでの活用などさまざまな方向性で提案を進めていく」と述べている。
◎併せて読みたい「3D プリンタ」関連ホワイトペーパー:
» 【活用事例】総合おもちゃメーカーのエポック社が実践する3Dモノづくり
» 3Dプリンタ製樹脂型が試作、小ロット生産に革命を起こす
» 地下足袋型トレーニングシューズの製品化を実現した新製法とデジタル技術
» 性能向上や新素材開発が「3Dプリンタ」市場の成長を後押し
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- A4コピー紙が材料の3Dプリンタ、出力コストは樹脂の10分の1以下でカラーも対応
ジェービーエムが国内販売を手掛けるMcor Technologies製の3Dプリンタ「Mcor IRIS」は、A4コピー紙が材料なので、一般的な樹脂を使う3Dプリンタと比べて出力コストが10分の1以下で済む。フルカラーでの出力にも対応している。 - 金属3Dプリンタ活用3つのハードルと日本のモノづくりの今後
金属3Dプリンタ関連の技術開発が急速に進み、海外を中心に製造事例も聞こえてくるようになった今日、その動きに取り残されないよう、従来の考え方や経験にとらわれない仕事をしていくことが、今後はより重要になっていきそうだ。 - 靴にもマスカスタマイゼーションの波、店頭でシューズを作る体験は売れるのか
靴メーカーのECCOは2019年1月29日、顧客個々の足にフィットしたカスタマイズシューズを店頭で製造、販売する日本初(ECCO調べ)のプロジェクト「QUANT-U(クアントゥー)」を発表した。カスタマイズシューズは同年2月20日から伊勢丹 新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴売場で提供を開始する。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 3Dプリンタはインダストリー4.0の重要なピース?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第14回となる今回は、インダストリー4.0の動きと合わせて再注目されている3Dプリンタの動向とその理由について紹介します。 - アディダスが選んだ量産向け高速3Dプリンタ、日本市場でも着々と受注拡大
米国の3DプリンタベンチャーのCarbonは、「第3回スマート工場EXPO」に出展し、引き上げ式の光硬化樹脂型の新方式3Dプリンティング技術をアピール。日本市場でも本格的に導入が広がりつつあることを訴えた。 - TRAFAMが砂型3Dプリンタのプロジェクト完了、金属3Dプリンタは引き続き技術開発へ
技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)は、Additive Manufacturing(付加製造)の国家プロジェクトを新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として進めている。