A4コピー紙が材料の3Dプリンタ、出力コストは樹脂の10分の1以下でカラーも対応:MEDIX関西
ジェービーエムが国内販売を手掛けるMcor Technologies製の3Dプリンタ「Mcor IRIS」は、A4コピー紙が材料なので、一般的な樹脂を使う3Dプリンタと比べて出力コストが10分の1以下で済む。フルカラーでの出力にも対応している。
ジェービーエムは、「第5回 関西 医療機器開発・製造展(MEDIX関西2015)」(2015年2月4〜6日、インテックス大阪)において、同社が国内販売を手掛けるMcor Technologies製の3Dプリンタ「Mcor IRIS(エムコア アイリス)」を展示した。
一般的な3Dプリンタは、3Dプリントを行うための材料として特殊な樹脂を用いることが多い。3Dプリンタ本体の価格は安価なものであれば10万円以下になっているが、材料である樹脂については、2Dプリンタのインクカートリッジと同様に安価とはいえない状況にある。
これらの高価な樹脂を使う3Dプリンタに対して、Mcor IRISは、一般的なA4コピー用紙を3Dプリントに使うことを最大の特徴としている。3Dプリントのプロセスは以下のような手順で行う。まず、各A4コピー用紙に造形する3Dモデルの断面を両面印刷する。次に、A4コピー用紙の3Dモデルの外枠形状に沿って切り込みを入れてから、表面に特殊なのりを塗布する。そして、次の3Dモデルの断面に当たるA4コピー用紙を接着/プレス。その上から再度切り込みを入れてのりを塗布して……という手順を繰り返す。全てのA4コピー用紙に切り込みを入れて接着/プレスが終わった後に、3Dモデルの周囲のサポート材となる部分を手やピンセットで除去すれば完成だ。
3Dモデルの断面を印刷する際にカラープリンタを使えば、出力物に100万色以上の彩色を施すこともできる。積層ピッチは、A4コピー用紙の厚さに対応して0.1mmとなっている。造形サイズは、縦横はA4コピー用紙のサイズ内に収まる256×119mmで、高さ方向は150mmという制限がある。
ランニングコストについては、「A4コピー用紙は500枚で300〜400円。これに『特殊なのり』やカラープリンタのインク代を足しても、1回当たりの出力コストは1000円以下に抑えられる。同じサイズのものを、樹脂を用いる3Dプリンタで出力した場合と比べて10分の1以下で済む」(ジェービーエム)という。
ただしMcor IRISの材料はあくまでA4コピー用紙なので、用途は外観確認用のサンプル出力などに限られる。樹脂のような一定レベル以上の強度は期待できない。
Mcor IRISの価格は、2Dインクジェットカラープリンタや専用スタンドがセットの場合で約900万円、Mcor IRIS単体で800万円である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- アーク溶接方式を採用した国産金属3Dプリンタ登場
武藤工業は、3Dプリンティング技術の展示会「3D Printing 2015 Additive Manufacturing Technology Exhibition」に出展し、「アーク溶接金属3Dプリンタ」の試作機を参考展示し、デモを披露した。 - FDM方式3Dプリンタで曲げられるものを作る、慶大とJSRが共同開発
JSRは、「SEMICON Japan 2014」内の特別展「World of IoT」において、慶應義塾大学准教授の田中浩也氏と共同で開発している、熱可塑性エラストマーを材料に用いた3Dプリンティング技術の開発成果を披露した。 - 複数のレーザーで自在に造形! ドイツ製の金属3Dプリンタ「SLM 280」
愛知産業はJIMTOF2014で、ドイツのSLM Solutions製の金属3Dプリンタ「SLM 280 HL」を展示した。複数のファイバーレーザーを利用した高速造形が可能だという。 - 世界初、田中貴金属工業が3Dプリンタ向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に成功
田中貴金属工業は、3Dプリンタ向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に「世界で初めて」(同社)成功したことを発表した。