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人のカタチをした双腕協働ロボット「NEXTAGE」ができるまでロボデックス(2/2 ページ)

「第3回ロボデックス」で、カワダロボティクス 取締役 技術統括 五十棲隆勝氏が講演。「人と共存するヒト型ロボット『NEXTAGE』の開発」と題して、同社の双腕協働ロボット「NEXTAGE」への取り組みについて語った。

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パートナーシップを生かしたロボット展開

 ただ、カワダロボティクスには当時、FAに関する技術やビジネスノウハウがなかった。そこで、製品や技術の開発と販売促進は自社業務とするが、販売や製造は外部に委託する協業型のビジネスモデルを目指す方向性を決めた。

 そして、人とヒューマノイドロボットが仕事を共有する「新しい働き方の提示」を事業コンセプトとした。具体的には「人間が主体となり、ロボットを共存、協調させて作業を行うこと」を目指した。ロボットは自ら改善ができないことから、人間は生産効率向上のために生産システムそのものを改善、改良する役割を担う。さらに、複雑な技能力により、従来は実現できなかった品質や製品の作り方を生み出すことなども人の役割として残るという考えだ。

 これらを具現化するために双腕型ヒューマノイドロボットの開発を進めていった。ヒトサイズで人間に対して親和性のある意匠とし、用途は現在人が行っているが人でなくても問題ない作業を行うと定義。さらに、ロボットに必要な機能として「設置が容易(移動が簡単)」「小型、省スペース」「安全性」と定めた。

 これらの要件に合わせた製品が2007年にはついに完成。軸構成が腕6軸×2、腰1軸、首2軸の計15軸で高さ73cm、質量20kg、可搬質量両腕3.0kgなどのスペックを持った「NEXTAGE」の初期型である。

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「NEXTAGE」による生産ライン作業のデモの様子

 この「NEXTAGE」のプロトタイプを2009年の国際ロボット展に参考出品してマーケティング調査を行ったところ、通貨関連機器の開発および製造を行うグローリーが関心を持ち契約に至ったという。「驚いたのは、まだ市場で実績の無いロボットを、一度に20台近くを導入し、生産システムの構築を行ってくれたところだ。それまで働いていた従業員も他の部署で活人化するという取り組みだった」(五十棲氏)という。

 カワダロボティクスのロボットシステムは、ロボット本体に、ハンド、周辺機器を加えて、組み上げるという方法を取るが、グローリーは「それを自在に活用できる周辺機器のエンジニアリング能力を持っていたところが大きかった」と五十棲氏は述べている。

 また、最近では三品業界(化粧品、食料品、医薬品)への採用も進んでおり、2014年には大手企業の花王が試験導入を開始した。周辺機器、ハンドは花王独自で開発し、ロボットはマニピュレーション作業と定量的な検査作業を同時に行う。人は外観検査、製造ライン全体の運用管理、メンテナンスなどロボットには難しい作業を行い、役割分担を実現しているという。三品業界では費用対効果やスペース、安全性などの問題から、従来ロボットを使いたくても使えない状況があったが、「NEXTAGE」による新たなロボット活用の可能性が生まれたことで、ロボット活用そのものが広がりを見せているという。

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資生堂 掛川工場における人とロボットの協働作業の様子 出典:資生堂

 これらの実績やユーザーの評価を受け、カワダロボティクスでは2018年に「NEXTAGE」の新モデルを投入。可搬質量を両腕で5kgに向上するなど機能を高めカバー範囲を拡大していく方針だ。引き続き単純組み立てや検査、梱包などの作業をより広い範囲で担っていくことを目指している。

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