人のカタチをした双腕協働ロボット「NEXTAGE」ができるまで:ロボデックス(1/2 ページ)
「第3回ロボデックス」で、カワダロボティクス 取締役 技術統括 五十棲隆勝氏が講演。「人と共存するヒト型ロボット『NEXTAGE』の開発」と題して、同社の双腕協働ロボット「NEXTAGE」への取り組みについて語った。
ロボット開発および活用を提案する展示会「第3回ロボデックス」(2019年1月16日〜18日、東京ビッグサイト)の「三品産業で活躍する協働ロボット」をテーマとしたセミナーで、カワダロボティクス 取締役 技術統括 五十棲隆勝氏が講演。「人と共存するヒト型ロボット『NEXTAGE』の開発」と題して、同社の双腕協働ロボット「NEXTAGE」への取り組みについて語った。
なぜ「NEXTAGE」に取り組んだのか
カワダロボティクスは、橋梁建設などを主業とする川田工業のグループ会社である。もともと川田工業の新規事業として始まったロボット開発事業だが現在は、二足歩行型ロボットの開発や双腕型の次世代産業用ロボットの事業化に取り組んでいる。
人間協調および共存型のロボットシステムの開発目標としてカワダロボティクスでは「人間の作業および生活空間において、通信ネットワークなどを利用した遠隔操作によって、人間と協調、共存して、複雑な作業や変化のある地形を柔軟に移動が可能な人間型ロボットの実現と提示」を目標に掲げている。さらに「人間4人とロボット7体で、人間11人分の仕事ができるようになれば、日本の将来の社会状況にあったモノづくりができる(人間が指示を出して、ロボットが単純作業を行う)」と五十棲氏は語っている。
建設業では現場での溶接、塗装などの技能者の減少に対して、退職者の再雇用などで対応してきたが、将来的にはそれも追い付かなくなることが予想される。そのため、人間の作業をサポートすることを目指し、ヒューマノイドロボット「NETAGE」の開発に取り組んだ。しかし、当初ロボットの開発には航空工学出身者が当たっていたため、FA、ロボットなどの知識が足りなかった。そのため、政府のプロジェクトに合わせて大学、研究所など他の知見を集め、開発を進めていったという。
ただ、もともとヘリコプターの開発を行っていたため、パイロットが操縦を楽に行えるように支援する技術や、姿勢安定および自動操縦システム、モーションコントロール技術などは保有していた。モーションコントロール技術は人間と共存して力や速度、位置をインタラクティブな機能により伝達する手段である。
既存のロボットメーカーが実現できないロボットを
ヒューマノイドロボットは一般的には、危険作業や生活支援、サービスなどの領域を想定して開発されることが多いが、カワダロボティクスでは開発の過程で、ヒューマノイドロボットで目指すのは「モノづくり分野で人間の作業を助ける」という用途に定めた。ただ、製造現場では、既に数多くのロボットが採用されており、実績のあるロボットメーカーなども数多く存在する。そこで、既に実績のある他のロボットメーカーとは異なる強みを発揮することを目指したという。
例えば、生産方式においては当時から、機種変更が頻繁に行われたり、生産量が毎月のように変化したりするなど、大量生産から多品種少量、多品種変量生産への変化が見られていた。しかし、これらの多品種少量および多品種変量生産にコスト的にも作業効率的にも適合するロボットは当時は存在せず、これらは人手によって対応しているのが一般的だった。
これらの当時のロボットが当てはまめられない領域をいくつか対象に挙げて、2006年には最終的なヒューマノイドロボット事業のポリシーを「技術立国・ものづくり日本の復活、Made In Japanの復活による生産技術への貢献」に置いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.