ピペット奴隷を解放へ、双腕ロボットと自律走行装置の組み合わせで:協働ロボット
日立製作所は、ユーザーイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」において、日立製作所などが開発した自律走行装置「HiMoveRO」とカワダロボティクス製双腕ロボット「NEXTAGE」を組み合わせた、自走式双腕ロボットをデモする。既に研究機関などに10数台の導入が決まっているという。
日立製作所は2017年10月31日、ユーザーイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」(東京国際フォーラム、2017年11月1〜2日)の事前内覧会を実施。その中で日立製作所などが開発した自律走行装置「HiMoveRO」とカワダロボティクス製双腕ロボット「NEXTAGE」を組み合わせた、自走式双腕ロボットをデモした。
研究所の単純作業を代替へ
自走式双腕ロボットは、カワダロボティクス製双腕ロボット「NEXTAGE」を日立製作所などが開発した自律走行装置「HiMoveRO」に搭載したものとなる。
「HiMoveRO」は、レーザー距離センサーを搭載しており、周囲の情報を取得して電子地図を自動作成する。これにより走行ルートを設定し、専用のレールや走行ガイド、マーカーの設置などの必要がなく、自律的な走行が可能。設定した走行ルートと誤差が生じた場合には、電子地図とマッチングさせて自己位置を自動で認識し、補正しながら走行する。独自技術を活用し誤差±10mm以内という高い精度で目的地に停止させられるという。
電子地図を作成して移動するために、いちいちコースなどをプログラムする必要はなく、地図上のポイントを示すだけでその場所まで安全に移動する。複数台の「HiMoveRO」などを活用している場合でも自律的によけて進むことが可能だ。ポイントに到達すると、搭載している「NEXTAGE」に所定位置についたことを知らせ、「NEXTAGE」がそこから所定の作業を開始する。作業を終了すると「NEXTAGE」が逆に「HiMoveRO」に作業終了を知らせる。すると「HiMoveRO」が次のポイントに移動するという仕組みとなっている。
自走式双腕ロボットは2017年4月から販売を開始したが「どの作業をロボットに担わせるべきかの切り分けが難しく要件定義に時間がかかる」(担当者)とする。ただ、引き合いそのものは多く「2018年2〜3月には10数台の導入事例が生まれる」(担当者)としている。導入は研究機関が多いが、半導体などの一部組み立て工程などで使用するケースもあるとしている。
担当者は「研究機関などでは、実際に研究を行う時間よりも単純作業を行う時間の方が長い場合もある。その作業を軽減し、少しでも本来の研究に時間が割けるようにしたい」と述べている。
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