建設機械2台の遠隔連携作業に成功、5G活用で:製造ITニュース
NEC、KDDI、大林組は、次世代移動通信システム「5G」を活用し、2台の建設機械を遠隔操作によって連携させ、土砂を運搬することに成功した。
NECは2018年12月14日、KDDI、大林組と共同で、次世代移動通信システム「5G」を活用し、2台の建設機械を遠隔操作によって連携させる作業に成功したと発表した。作業は建設中の安威川ダム(大阪府茨木市)で施工エリア一部を使用し、同月3日〜14日にかけて実施した。
災害時は社会インフラの復旧が急務となるが、土砂崩れなどの2次災害による作業員の受傷防止のため、建設機械を遠隔操作する遠隔操作システムの活用が期待されている。しかし、従来のWi-Fiなどを活用した遠隔操作では、建設機械の操作に対して映像のずれが生じ、作業効率が低下することがあった。特に、2台の建設機械が連携して作業する場合には、遠隔操作と映像のずれを最小化することが求められていた。
実証試験では、高速、大容量、低遅延という5Gの特長を活用。種類の異なる2台の建機を遠隔操作で連携させ、土砂を運搬することに成功した。各建機には、前方に2Kカメラを3台、全天球カメラを1台搭載。計8台のカメラ映像と音声情報を5Gでリアルタイムに伝送することで、搭乗操作と同等の操作性を提供できた。
また、災害などで光回線を使用できない場合を想定し、5G基地局から遠隔操作室までの約750mを10Gbps伝送が可能な80GHz帯高速無線伝送システム「iPASOLINK EX Advanced」で接続し、5Gのバックホール通信として活用した。これに加え、4台の俯瞰カメラの映像を伝送した。
さらに、車載型の5G基地局を導入し、移動式のトレーラーハウス内に遠隔操作室を設置。災害現場でも短時間で遠隔操作の環境を構築でき、復旧活動を迅速かつ安全に進められることを実証した。
他に、ICT施工現場に対話型の音声制御システムを導入し、音声のみで5Gを搭載した建設機械を遠隔操作することに成功した。これにより、1人のオペレーターで2台の建設機械を同時に操作可能となった。
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