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5Gと4K3Dモニターを活用、建機による遠隔施工の作業効率を15〜25%改善:製造ITニュース
KDDI、大林組、NECは、次世代移動通信システム「5G」と4K3Dモニターを活用した建設機械による遠隔施工の実証実験に成功した。5Gを応用してより高精細な映像を伝送し、3D表示することで作業効率を15〜25%改善させた。
KDDI、大林組、NECの3社は2018年2月15日、次世代移動通信システム「5G」と4K3Dモニターを活用した建設機械による遠隔施工の実証実験に成功したと発表した。国内では初の成功事例になるという。
同試験では、高精細4Kカメラ2台、2K全天球カメラ1台、2K俯瞰カメラ2台を建機に設置。計5台のカメラからの映像を28GHz帯の超多素子アンテナによるビームフォーミングを活用し、遠隔操作室に伝送した。遠隔操作室において4K対応の3Dモニターを利用することで、従来よりも奥行きをより正確に捉えられるようになった。これにより、作業効率を15〜25%改善できることを確認したという。
試験場となったのは、埼玉県川越市にある大林組の東京機械工場。同月1〜14日にかけて実施した。
従来、建機による遠隔施工に関しては、建機に設置したカメラからの映像と建機を俯瞰する映像のみを使って作業することになるため、搭乗操作よりも建機の動作が遅くなり、作業効率が50〜60%ほどに低下する点が課題として挙げられていた。
3社は実証実験において、より高速で大容量の通信が可能な5Gを建機の遠隔操作に応用し、これまでよりも高精細の映像を伝送。さらに5台のカメラからの映像を3Dモニターで表示することで、作業効率の改善を図った。
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