ランドログは“破格”の建設IoT基盤に「新しいことをどんどんやってほしい」:イノベーションのレシピ(1/2 ページ)
ランドログが建設IoT基盤「LANDLOG」の先行ユーザー向けパートナー説明会を開催した。初年度の年会費は10万円で、IoTプラットフォームの利用料としては“破格”の安さだ。同社社長の井川甲作氏は「当社は短期的な収益を狙っていない。LANDLOGをどんどん使ってもらって建設現場に新しいものを生み出してほしい」と呼びかけた。
ランドログは2018年2月20日、東京都内で、建設生産プロセス向けのオープンクラウドIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「LANDLOG」の先行ユーザー向けパートナー説明会を開催した。同日からWebサイトでLANDLOGの機能を広く利用できる「LANDLOG Partner」の募集を開始しており、同年3月19日には一般ユーザー向けパートナー説明会を開催する計画。5月から正式にパートナー制度を発足させる方針だ。
ランドログは2017年10月、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が出資して立ち上げた企業だ。建設生産に関わるデータを「コト化」し、アプリケーションに提供するプラットフォームであるLANDLOGを広く展開するために、出資企業であるコマツの建機にとどまらないオープンな事業を推進している(関連記事:コマツ出資のIoTプラットフォームは「オープン」、アプリ開発はデザイン思考で)。
そのオープンな事業推進で重要な役割を果たすのが、パートナー制度のLANDLOG Partnerである。ランドログ 社長の井川甲作氏は「当社が提供するLANDLOGというプラットフォームだけでは建設生産プロセスの課題は解決できない。LANDLOGに参加する人々が全てWin-Winになるようなエコシステムが必要だ。このエコシステム形成に協力していただける方々を対象とするのがLANDLOG Partnerだ」と語る。
LANDLOGのユーザーは、ランドログやコミュニティーのサポートを必要としない無料の一般ユーザーと、年会費を支払う有料のLANDLOG Partnerに分かれる。LANDLOG Partnerの中も、パートナーカテゴリーと会員ステータスで分けられる。パートナーカテゴリーは、建設業をはじめとするビジネス提供の主体となる「ビジネスパートナー」、ビジネス展開に必要なコンサルティングやソリューションを提供する「ソリューションパートナー」、LANDLOG上で動作するデバイスを提供する「IoTデバイスパートナー」の3つ。会員ステータスは、LANDLOGの機能をフルに利用できる「エクセレント」と、利用できる機能が限定される「スタンダード」の2つになる。
ただしLANDLOG Partnerに参加した初年度はエクセレントの機能を開放する。会員ステータスは次年度以降に決まるが、エクセレントとなるための基準は「LANDLOGを活用した新規ビジネスの構想の主体となり、その構想を実現するために必要な技術を持ち提案できる企業であること。つまり、LANDLOGで新しいことをやりたい、そのための積極的な活動をためらわない企業だ」(ランドログ CDO(チーフデジタルオフィサー)の明石宗一郎氏)という。
エクセレントの機能を利用できる初年度の年会費は10万円だ。次年度から年会費はエクセレントが30万円、スタンダードが10万円となる。エクセレントは利用できる機能が充実しているだけでなく、LANDLOGを用いてアプリケーションを提供する際の利用料金体系も優遇されている。明石氏は「LANDLOG Partnerには、一定期間内で新たなビジネスを起こす前提で参加してほしい。単なる情報収集のための参加は求めていない。LANDLOGは海外展開も視野に入れているので、そういった継続性も考慮してほしい」と強調する。
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