ランドログは“破格”の建設IoT基盤に「新しいことをどんどんやってほしい」:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
ランドログが建設IoT基盤「LANDLOG」の先行ユーザー向けパートナー説明会を開催した。初年度の年会費は10万円で、IoTプラットフォームの利用料としては“破格”の安さだ。同社社長の井川甲作氏は「当社は短期的な収益を狙っていない。LANDLOGをどんどん使ってもらって建設現場に新しいものを生み出してほしい」と呼びかけた。
「中小・中堅の建設業にぜひLANDLOGを活用してもらいたい」
ランドログは設立から現在までの約半年間で、80〜90社からの引き合いを得ているという。今回の先行ユーザー向けパートナー説明会には、その中から約20社が招待された。また、説明会の中では先行パートナーとして9社が紹介され、5社が現在の取り組みについて説明している。この規模感であれば、2018年4月に予定しているパートナー制度の正式発足時には100社ほどの参加が見込めそうだ。
しかし明石氏は「当初はそういったイメージもあったが、できれば数百社、数千社のレベルで一気に参加を増やしたいという思いがある」と意気込む。その理由は、LANDLOGが主要なユーザーと想定している国内建設企業約45万社のうち、90%以上が社員数10人以下の中小企業だからだ。「そういった中小や中堅の建設企業に、LANDLOGを使って建設生産プロセスを革新する新しいことに取り組んでほしい。そのために、LANDLOGの利用料を一般的なIoTプラットフォームよりもはるかに格安な10万円という年会費に設定した」(同氏)という。
この他にも、既にLANDLOG上で利用可能になっている建設現場を可視化するアプリケーションの「日々カメラ」や「日々ドローン」を、ドローンやカメラ、サーバなどのハードウェアをセットにして格安に提供する準備を整えている。明石氏は「実際に使ってもらえば、そこからさまざまなアイデアが出てくると思う。そのためにも、LANDLOGのアプリケーションをどんどん使ってもらえるようにする」と説明する。
また井川氏は「現時点でランドログから提供するサービスは、現場の要望から乖離している可能性が高いのではないかと思っている。だからこそ、現場を知る方々との連携が不可欠であり、1カ月当たり1万円以下という参加しやすい年会費に設定した。今後は、パートナーからの要望に合わせて制度の中身も柔軟に変えていきたい。当社は短期的な収益を狙っているわけではないので、とにかく皆さんにLANDLOGをどんどん使ってもらって建設現場に新しいものを生み出してほしい」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 建設現場を変えるIoT基盤はAzureを採用、グローバル対応などを評価
日本マイクロソフトは都内で日本におけるデジタル変革への取り組みと現状について説明。建設IoT基盤「LANDLOG」にAzureが採用されたことを発表した。 - IoTで建設業務を効率化、共通基盤を4社で構築へ
コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社は、建設業務での生産プロセスに関わるあらゆる「モノ」をつなぐ新プラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」を4社共同で企画、運用することに合意した。 - コマツ出資のIoTプラットフォームは「オープン」、アプリ開発はデザイン思考で
ランドログは、SAPジャパン主催のイベント「SAP Leonardo Executive Summit」において、建設業界向けクラウドIoTプラットフォーム「LANDLOG」のアプリケーション開発を進める上で、デザイン思考をベースにしたコンソーシアムを立ち上げる方針を明らかにした。 - NVIDIAのCEOが日本のAI活用に期待、コマツとの協業で自律運転マシンが建設現場へ
NVIDIAのユーザーイベント「GTC Japan 2017」において、同社CEOのジェンスン・フアン氏は、AI(人工知能)の導入による建設現場の安全と生産性の向上を目的として、建機メーカー大手のコマツと協業すると発表した。 - 加速するコマツのIoT戦略、「顧客志向」が成功の源泉に
IoT活用サービスの成功事例として真っ先に上げられるのが、コマツの機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」だろう。さらに同社は「スマートコンストラクション」や「KomConnect」などによってIoT戦略を加速させようとしている。同社の取締役(兼)専務執行役員でICTソリューション本部長を務める黒本和憲氏に話を聞いた。 - イノベーションを生み出す「デザイン思考」とは
現在、日本の製造業で求めらているイノベーションを生み出す上で重要な役割を果たすといわれているのが「デザイン思考」だ。本稿では、デザイン思考が求められている理由、デザイン思考の歴史、デザイン思考と従来型の思考との違いについて解説する。