高級ワインの偽造防止に貢献、脆性加工を施したNFC対応ICタグ:製造IT導入事例
凸版印刷のNFC対応ICタグ「Cachet-Tag」が、フランスの高級ワインメーカーであるドメーヌ・ポンソのグラン・クリュクラスの全製品に採用された。一度剥がすとデータの読み取りができなくなるため、ラベルの不正な貼り替えを防止する。
凸版印刷は2018年11月16日、同社が開発したNFC対応ICタグ「Cachet-Tag(カシェタグ)」が、フランスの高級ワインメーカーであるドメーヌ・ポンソのグラン・クリュクラスの全製品に採用されたと発表した。Cachet-Tag搭載のワインは、同年10月より順次出荷を開始している。
Cachet-Tagは、一度剥がすとアンテナ回路が断線し、データの読み取りができなくなる脆性加工を施している。ラベルの不正な貼り替えや再利用を防止し、偽造品や模倣品対策として活用できる。
NFC対応のスマートフォンをかざして専用アプリでICチップ内部のデータを認証すれば、商品の真贋判定が行える。専用の読み取り機器は不要だ。専用アプリは商品情報などの表示にも対応し、消費者向けの情報提供ツールとしても活用できる。
ICチップは、NXP Semiconductorsの「NTAG 413 DNA」を採用。ICタグを読み取ると、ID情報に加え、演算による認証情報も取得する。認証情報は、製品個体やNFC対応スマートフォンによる読み取りごとに異なる。また、クラウド上でその演算結果を判定するため、高いセキュリティ性を確保した。
ドメーヌ・ポンソでは、20年以上前から偽造被害を受けており、先進的な偽造防止技術の導入に取り組んできた。今回、Cachet-Tagを採用したことで、グラン・クリュクラスの製品において、より強固なセキュリティ対策が可能になった。
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