ワインの不正開栓を検知するICタグを開発、ドメーヌ・エマニュエル・ルジェで採用:組み込み採用事例
凸版印刷は、ワインのコルク栓引き抜きや不正な穴開けを検知できるICタグ「CorkTag」を開発した。偽造ワインや不正な詰め替えからのブランドプロテクション用途として販売する。
凸版印刷は2017年1月12日、ワインのコルク栓引き抜きや不正な穴開けを検知できるICタグ「CorkTag(コルクタグ)」を開発したと発表した。偽造ワインや不正な詰め替えを防止するため、国内外の高級ワイン醸造メーカーを対象に同月中旬より販売を開始する。価格は30万ロットの場合、1枚約90円となる。
CorkTagは、ワインのコルク栓を外側から覆うラベル形状のICタグだ。アンテナ回路とは別に上面・側面にそれぞれ断線を検知する回路を搭載するため、コルクの引き抜きだけでなく、針で小さな穴を開けただけでも開栓を検知し、ICチップ内にその履歴を記録する。ICタグは通常、アンテナ回路が断線すると通信できないが、特殊ICチップを採用したことで断線後もICタグとしての機能を保持する。
また、NFCに対応しており、特別な読み取り機器を導入しなくてもスマートフォンで製品の開栓・未開栓の確認ができる。さらに、消費者がスマートフォンでICタグを読み取ることで、産地情報やキャンペーンのWebサイトへ誘導できるため、マーケティングにも活用が可能だ。
近年、世界的に模倣品や海賊版の流通が拡大している。ワインの場合、一度コルク栓を抜いて中身を入れ替えるだけでなく、専用針でコルク栓に穴を開けて中身を入れ替えるなどの被害も増えており、対処方法が課題になっていた。
同製品は、認証セキュリティ事業を手掛けるベルギーのSelinkoと共同で開発。本格販売に先立ち、フランス・ブルゴーニュ地方のワインメーカーのドメーヌ・エマニュエル・ルジェで採用され、2016年12月より出荷を開始している。
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