薬箱の中身をICタグ付き処方薬とタブレット端末で管理、飲み忘れ防止に:医療機器ニュース
凸版印刷とデンソーウェーブは、ICタグ薬包を一括管理できるiPad連動型の通信機能付き薬箱を共同開発した。また、実証実験を実施し、薬の飲み忘れ防止や残薬量の可視化による薬剤管理の精度向上など有効性を検証した。
凸版印刷とデンソーウェーブは2017年7月10日、ICタグ薬包を一括管理できる通信機能付き薬箱を共同開発したと発表した。また、実証実験を実施し、服薬管理の有効性を検証した。
通信機能付き薬箱は、患者と処方薬を個別にひも付けたICタグ薬包を自動で読み込み、Appleのタブレット端末「iPad」を活用して服薬状況を管理する。Appleが提供するオープンソースプログラム「CareKit」を用いて、「服薬アラート」「残薬量」などをiPad上に表示する。なお、iPadとCareKitを組み合わせた服薬管理システムは、日本国内で初めての実装となる。
ICタグ薬包を活用したIoT(モノのインターネット)服薬管理システムの実証実験は、2017年6月27日〜7月4日まで実施。薬剤師を含む全国の一般生活者モニター8人を対象に、同製品による服薬管理の有効性を検証した。
具体的には、ICタグ薬包による服薬履歴の取得、従来の服薬行動に対する優位性の確認、大量のICタグ薬包を複数同時に読み込む920MHz帯RFID読み取り技術について検証。その結果、飲み忘れ防止や残薬量の可視化によって薬剤管理の精度が向上するなどの効果が確認された。
今回の共同開発については、凸版印刷がICタグ薬包と通信機能付き薬箱を開発し、デンソーウェーブが薬箱に組み込む複数のICタグを一括読み取りできる920MHz帯RFID読み取り技術を提供した。
超高齢社会が加速する中、薬の飲み合わせの誤りから起こる健康被害や薬の過剰処方による医療保険財政の圧迫が社会問題化しつつある。通信機能付き薬箱は、家庭や療養/介護施設で、患者と医療従事者双方の負担を軽減し、遠隔地からの見守りサービスとしての有効性も期待できる。
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