NFC対応センサーで薬の服用を追跡するプラットフォームを発売:医療機器ニュース
NXPセミコンダクターズは、患者が処方通りに薬を服用する処方順守(アドヒアランス)を向上させる新プラットフォーム「NHS315x」を発表した。NFC対応センサーをパッケージに組み込み、どの薬がいつ取り出されたかを追跡できる。
NXPセミコンダクターズは2015年11月18日、処方順守(アドヒアランス)を向上させる新プラットフォーム「NHS315x」を発表した。長期間の患者治療において、治療実績の改善と治療コスト低減が可能になるとしている。
医療の進歩の一方で、多くの患者が処方通りに薬を服用せず、治療が本来の効果を発揮できないケースがある。例えば高齢患者では、処方通りの薬の服用を記憶することが困難だったり、慢性病患者の場合、症状の好転を感じると薬の服用を中止したりすることがある。こうしたケースでは、治療の効果が低下したり、健康状態が悪化するなど、かえって治療が長引き、費用がかさむことが少なくないという。
今回NXPが開発したソリューションは、NFC対応センサーをブリスターパックや錠剤ビンに組み込み、どの薬がいつパッケージから取り出されたかを追跡できる。この情報は、ユーザーがスマートフォンをパッケージにかざすだけで記録される。さらに、患者・介護担当者・ヘルスケア専門家をサポートするため、特定の治療向けにパーソナル化したサービス提供にも情報を利用できる。
こうした情報管理により、患者が処方通りに薬を服用でき、公的/民間医療費支払い機関の負担を軽減できる。また、製薬会社が治療成果の改善を実証できるなどのメリットがあるという。
発売にあたりNXPでは、オランダのラドバウド大学で処方順守状況と問題解決のための技術の効果的な活用法に関する調査を実施。その結果、同ソリューションの価値を確認したとしている。
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