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脳梗塞の新たな治療薬を発見、治療可能時間を8時間程度に延長医療技術ニュース

新潟大学脳研究所の下畑享良准教授らの研究グループは、脳梗塞の治療法である血栓溶解療法の弱点とされる合併症(脳出血、脳浮腫)を抑制し、かつ脳の神経細胞を保護し、炎症を抑える治療薬を発見した。

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 新潟大学は2015年3月26日、同大脳研究所の下畑享良准教授らの研究グループが、脳梗塞の治療法である血栓溶解療法の弱点とされる合併症(脳出血、脳浮腫)を抑制し、かつ脳の神経細胞を保護し、炎症を抑える治療薬を発見したと発表した。

 脳梗塞は、脳卒中の1種で、血管が詰まって発症する。近年増加傾向にあり、遺症に苦しむ患者も多く、治療にかかる医療費は増加の一途にあるという。現在、脳梗塞の治療法としては、「組織プラスミノゲン・アクチベーター(tPA)」を用いた血栓溶解療法が最も有効とされている。しかし、治療可能時間が4.5時間以内と短く、脳梗塞患者の5%未満しか治療の効果が得られないという問題がある。これは、発症後に時間が経過すると、脳の神経細胞の他、血管にも障害が起こり、脳出血や脳浮腫(脳のむくみ)が生じやすくなるためだという。

 同研究では、欠乏すると認知症を引き起こすプログラニュリンというタンパクをtPAと一緒に投与すると、tPAの副作用である脳出血や脳浮腫を防ぐだけでなく、神経細胞を保護し、かつ炎症細胞を抑制して脳梗塞のサイズまで縮小することを、動物モデルを用いて発見した。こうした効果を持つ薬剤は世界でも初めてだという。

 この薬剤が実用化されると、治療可能時間が8時間程度まで延長できる可能性があり、tPA治療の恩恵を受ける患者数も3倍以上に増加するという。さらに、脳梗塞自体の症状が軽くなる可能性や、副作用の脳出血・脳浮腫が減ることで予後の改善などにつながることが期待できるとしている。

 なお、同研究成果は、2015年4月2日付の英学術誌『Brain』に掲載された。

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