加工組立工程における工具や製品の破損を検知する新型振動検査装置:FAニュース
日東精工は、加工組み立て工程における工具や製品の破損を検知する新型振動検査装置「KizMIL II」を開発した。センサー部とコントローラー部から構成され、製造設備における工具や各種部品などに生じる振動を観測する。
日東精工は2018年11月14日、加工組み立て工程における工具や製品の破損を検知する新型振動検査装置「KizMIL II」を開発したと発表した。発売予定日は同年12月3日で、希望販売価格は162万円(税別)、年間販売目標は20台。自動車業界などでの販売を想定している。
「KizMIL II」は、センサー部とコントローラー部から構成され、製造設備における工具や金型、各種部品、生産工程における各種製品に生じる振動を観測する。これらの劣化と破損を検知し、PCや外部機器に振動波形を取り込むこともできる。
センサー部はねじ込み固定式で、振動を検出したい場所や治具などに容易に取り付け可能だ。
高速のA/D変換器と広帯域のアナログ回路を採用。AE(アコースティックエミッション)を含む低周波から、50Hz〜2MHzの高周波まで広帯域の振動を観測する。低周波振動の波形データと高周波振動の波形データを最大2GBの大容量コンパクトフラッシュに保存できる。
さらに、同社開発の信号処理用ICに搭載された波形検出ユニットで、振動をリアルタイムに観測。従来機に存在していた検査不能時間を解消した。1台のコントローラーに2つのセンサーを取り付ければ、同時に2カ所の検査が可能。検出した異常振動の波形データはコンパクトフラッシュ(2チャンネル×1万6384点)に保存できる。
また、信号処理用ICに搭載された波形検出用デジタルフィルターを用いて、正常時の高周波振動成分を除去する。高周波振動環境下においても異常時振動成分を抽出して検査する。
アンプ増幅率や、サンプリングレート、振動検出条件などを、PC上の端末ソフトを使って設定・変更できる。また、波形検出用デジタルフィルターの決定と特性確認も可能だ。
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