生産現場を「見える化」し、稼働率向上を支援する工場向けIoTサービス:製造ITニュース
NTT東日本は、生産現場を「見える化」する「工場向けIoTパッケージ」を発表した。機械の稼働データを蓄積するデバイスやIoTセキュリティ機能、運用サポートなどがセットになっており、IT専任者の確保が困難な中小工場でも利用可能だ。
NTT東日本は2018年11月21日、生産現場を「見える化」する「工場向けIoTパッケージ」の提供を開始した。センサー装置一式、ネットワークカメラ1台の場合のモデル料金は、初期費用が132万円、月額利用料が2万9900円となる(税別)。
同パッケージは、センサー装置やネットワークカメラなどのIoT(モノのインターネット)デバイス、データ可視化に用いるIoTクラウド、IoTセキュリティ、Wi-Fi機能、運用サポートがセットになっている。導入から運用、問い合わせまでNTT東日本が一元的にサポートし、IT専任者の確保が困難な中小工場でも利用可能だ。
製造機械の稼働データ蓄積、アラート通知による異常停止の早期発見が可能で、異常停止時にはネットワークカメラが連動して、現場の状況や従業員の動きを映像で記録する。
センサー装置はパトライト製の「AirGRID」を活用。同装置は製造装置の信号灯に簡単に設置可能で、機械の内部に手を加えずに、機械の稼働時間や異常停止時間、生産数などを自動で収集できる。これまで手書きで記録していた情報を、より正確な稼働データとして蓄積することで、稼働率向上に役立てられる。
異常停止時は、アラート通知に加え、ネットワークカメラで録画した前後5分間の映像を確認できる。機械が短時間停止する「チョコ停」への迅速な対応や、現場巡回作業の低減が可能になる。映像データは、異常停止の原因分析や、ベテラン作業員から若手作業員へのスキル継承などにも利用できる。
自動収集したデータはクラウド上に保管されるため、工場内にサーバを設置する必要はなく、工場の外からでもデータを確認できる。また、セキュリティ機器を活用することにより、工場内ネットワークに対する外部からの不正アクセスも防げる。
さらに、IoTゲートウェイとしてWi-Fiを導入すれば、スマートフォンやタブレット、デジタルサイネージなども活用でき、生産現場のICT化を促進する。
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