それでも製造業にとって“スマート工場化”が避けては通れない理由:いまさら聞けない第4次産業革命(25)(1/4 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第25回となる今回は「そもそもスマート工場化って必要なの?」という点について考察してみたいと思います。
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第25回となる今回は「そもそもスマート工場化って必要なの?」という点について考察してみたいと思います。
本連載の趣旨
本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介したいと考えています。ただ、単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。
※)本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoT(モノのインターネット)による製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。
本連載の登場人物
矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)
自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。多少優柔不断。印出研究所に入り浸っている。
印出 鳥代(いんだす とりよ)
ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回のあらすじ
第24回:「『分析したら何でも分かる』は妄想? 第4次産業革命の前提となるデータの考え方」
あらすじ背景
従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。
さて前回のおさらいです。前回は第4次産業革命の価値の源泉ともいわれる「データ」についての考え方とポイントについて説明しました。データを取得、蓄積し、分析しようとしても思ったような成果を得るにはそう簡単ではないということでしたね。
なんというか、思い描いたものが全くできないんです。そもそもデータといってもさまざまな種類があるし、データを使う前提ではなかった機器もあって、そこから上がってくるデータフォーマットが無茶苦茶で、そもそも分析に至らないんです。
「データを活用する」と一言でいっても、工場内では機器がネットワーク化されていない他、接続できないような古い機械が数多く存在します。その中でそもそもデータを取得するという仕組みを構築するのは難しいのが現実です。さらに、データを取得できるようになったとしても、何も考えずに集めたデータをそのまま使えるわけではありません。ちゃんとデータの準備をしていなければ、何も得られないということでした。
「データ活用」を実現するには、「目的」と「最適な手段」が必要となります。「目的」が決まれば、それに必要な「データ」や「項目」「取得方法」や「粒度」などが決まってくるからです。その中で印出さんが訴えていたのが「スモールスタート」でしたね。
だからこそ、目的がはっきりしたところでスモールスタートし、その形で成果が見えたところで、大きく拡大することが現実的なのではないかしら。
「目的」がはっきりしたところでまずは小さいラインで始めてみて、成果が出るところまで取り組んでみる。そこで得られた成果を適用できそうなところに当てはめていくというやり方です。自社なりのベストプラクティスを作り上げて展開すべきということでした。
さて、今回はうまくいかなかった時や投資対効果が大きくなった時などに、振り返りたくなる「そもそもスマート工場化って必要なの?」という点について考察してみたいと思います。
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