Wi-SUN FANネットワークを利用し「Arm Pelion IoT Platform」との接続に成功:組み込み開発ニュース
ローム、京都大学、日新システムズは、国際無線通信規格Wi-SUN FAN準拠のソフトウェア搭載のハードウェアを共同開発し、Wi-SUN FAN経由で「Arm Pelion IoT Platform」との接続実験に成功したと発表した。
ロームは2018年11月12日、京都大学、日新システムズと共同で、国際無線通信規格Wi-SUN FAN(Field Area Network)準拠のソフトウェアを搭載したハードウェアを開発し、Wi-SUN FAN経由で「Arm Pelion IoT Platform」との接続実験に成功したと発表した。
Wi-SUN FANは、任意団体Wi-SUNアライアンスが制定する新しい通信規格で、センサーやメーターに搭載できる。IPv6による多段中継(マルチホップ)な通信を利用し、無線によるスマートシティの実現を目指している。今回開発に加わった京都大学大学院情報学研究科 教授の原田博司氏は、同団体の設立にも関わっている。
使用したWi-SUN FANソフトウェアは、京都大学と日新システムズが開発。ハードウェアにはArmの「Mbed OS」搭載マイコンとロームの無線通信デバイスを組み込み、これにArmのデバイス管理サービス「Pelion Device Management」のクライアント機能「Device Management Client」を実装した。
このシステムを用いて、Wi-SUN FANネットワーク経由でArm Pelion IoT Platformへの接続と、各種センサーデータの収集、クラウド上でのデータ表示に成功した。
今後、京都大学と日新システムズは、Mbed OS上のWi-SUN FANソフトウェアをWi-SUNアライアンスが開始するWi-SUN FAN認証試験に合格させ、技術適合性と相互接続性を確保する予定。ロームは、Wi-SUN FAN対応無線通信モジュールの量産化を進めるとしている。
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