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“プロセッサ”を開発する東芝メモリ、その技術と狙い組み込み開発 インタビュー(3/3 ページ)

東芝メモリがプロセッサの開発を発表した。現業から離れているように見えるプロセッサの開発を通じて東芝メモリは何を目指すのか。今回発表された技術の概要と開発の狙いを聞いた。

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プロセッサを開発する東芝メモリの目指す未来

 プロセッサの開発を明らかにした東芝メモリだが、こうした動きは他のストレージベンダーにも見受けられる。

 Western Digital(ウエスタンデジタル/WD)は、2018年6月に同社エグゼクティブバイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)を務めるMartin Fink(マーティン・フィンク)氏が来日した際に、オープンソースISA(命令セットアーキテクチャ)である「RISC-V」を活用したプロセッサ開発計画を明らかにしている。

 WDは、AI(人工知能)やビッグデータの活用が進むにつれ、ストレージの重要性がより高まるとともに、データ処理もストレージの近くで行うエッジ型の“データセントリックコンピューティング”が求められていると主張。同社が開発を進めるプロセッサもまずは機械学習向けアクセラレーターとして登場すると見られる。*)

*)関連記事:データ中心を加速、WDがRISC-Vプロセッサ開発に本腰(EE Times Japan)


Western Digitalが紹介するデータセントリックアーキテクチャの概要(クリックで拡大) 出典:Western Digital

 東芝メモリのプロセッサ開発も、データが中心となるコンピューティング技術の到来を見据えている。藤本氏は「ストレージベンダーはどこも大なり小なりこの流れに向かっている」と前置きしつつ、「今回の研究開発の方向性もデータセントリックコンピューティングを向いたもの。エッジでもデータセンターでもどちらでも活用できる技術」と語る。

 「ディープラーニングは大規模データを取り扱うため、われわれが得意とするストレージとの相性が非常に良いアプリケーションだ。今までデータとプロセッサの距離が遠かったため多くのDRAMが必要とされてきたが、専用プロセッサをデータに近い位置へ用意することでDRAMをストレージに置き換えることができるかもしれない。東芝メモリがAIで貢献できる部分は必ずあると考えている」(藤本氏)

 事業化は現在検討中としており、「2020年代の前半までに道筋を決めたい」(藤本氏)としつつも「今回の技術を必ず製品化するというわけではない」とのスタンスだ。藤本氏は「今まで東芝メモリで全くやっていない領域のビジネスなので、事業化には顧客やパートナーとの議論が必要になるだろう。この研究が議論の材料となり、パートナーシップが生まれることがあれば良い」と期待を語った。

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