演算性能と電力効率を向上した、第3世代CPUコアを発表:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットRX CPUコアの第3世代「RXv3」を発表した。同時実行命令の組み合わせ強化を図ることで、CoreMark/MHz値で5.8を達成。電力効率にも優れる。
ルネサス エレクトロニクスは2018年10月25日、32ビットRX CPUコアの第3世代「RXv3」を発表した。RXv3を搭載した新たなRXマイコンを、同年第4四半期末までにサンプル出荷する。
RXv3のパイプラインは前世代のRXv2、RXv1コアと同じく5段だが、同時実行命令の組み合わせ強化を図ることで、CoreMark/MHz値で5.8を達成した。電力効率にも優れ、CoreMark/mA値は44.8だ。省電力のキャッシュ設計手法を採用し、オンチップフラッシュメモリへのアクセス時間と消費電力を削減する。
また、最大256の専用レジスタ退避バンクを利用すれば、割り込み処理のオーバーヘッドを最小限に抑えられる。オプションとして、シングルサイクルのレジスタ一括退避ができる機能も用意した。
RXv3では、単精度浮動小数点演算命令(FPU)に加え、オプションで倍精度FPUが採用されており、高精度制御モデルのマイコンへの移植が容易になる。DSP、FPU動作とメモリアクセスの同時実行で、処理性能がさらに向上する。
RXファミリーはCPU命令やピン配置などに互換性があるため、開発環境の継続利用やシームレス展開が可能だ。RXv3も、RXv2、RXv1コアと共通の命令セットを持ち、上位互換性があるため、既存のアプリケーションをRXv3ベースのマイコンでそのまま使用できる。
主な用途として、次世代スマートファクトリーやスマートホーム、スマートインフラ機器で使用するモーターなどのリアルタイム制御や産業用途を見込んでいる。
関連記事
- ルネサスの「e-AI」が切り開く組み込みAIの未来、電池レス動作も可能に
ルネサス エレクトロニクスは、安価なマイコンにもAIを組み込める技術「e-AI」を発表した。同社 執行役員常務 兼 第二ソリューション事業本部本部長の横田善和氏に、e-AI投入の狙い、製品開発に適用する次世代技術などについて聞いた。 - ルネサスの組み込みAIの性能は10倍×10倍×10倍で1000倍へ「推論に加え学習も」
ルネサス エレクトロニクスは、汎用事業の成長ドライバーに位置付ける組み込みAI(人工知能)技術「e-AI」をさらに強化する。現在のMCU/MPUを用いた組み込みAIによる推論モデルの処理性能を、2018年夏に10倍、2019年末にさらに10倍、2021年にさらに10倍にして1000倍を目指すという。 - ルネサスの組み込みAIの性能が10倍に、独自開発の「DRP」で実現
ルネサス エレクトロニクスは、同社の組み込みAIソリューション「e-AI」における画像処理性能を従来比で10倍に向上できるマイクロプロセッサ「RZ/A2M」を開発した。最大の特徴は、独自に開発した動的に再構成が可能なプロセッサ技術「DRP」の採用になる。 - ルネサスの「RX」がアリババの組み込みOSをサポート、中国のIoT市場狙う
ルネサス エレクトロニクスは、中国のIT大手アリババの子会社であるアリババクラウドとの戦略的提携を発表した。また、ルネサスの32ビットマイコン「RX65N」「RX651」について、アリババのIoTデバイス向け組み込みOS「AliOS Things」のサポートを始める。 - ルネサスが半導体IPのライセンスを拡販、「RX」や「SH」をFPGAに組み込める
ルネサス エレクトロニクスは、半導体の設計情報であるIP(Intellectual Property)のライセンス販売を拡大する。従来は特定の大口顧客が要望する際のみに提供していたが、年率10%以上で成長しているIPライセンス市場に参入する。 - 32ビットマイコン「RX」向けのターゲットボード、価格は30ドル
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコンファミリー「RX65N」「RX130」「RX231」用の新ターゲットボードを発売した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.