ルネサスの「RX」がアリババの組み込みOSをサポート、中国のIoT市場狙う:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、中国のIT大手アリババの子会社であるアリババクラウドとの戦略的提携を発表した。また、ルネサスの32ビットマイコン「RX65N」「RX651」について、アリババのIoTデバイス向け組み込みOS「AliOS Things」のサポートを始める。
ルネサス エレクトロニクスは2018年9月25日、中国のIT大手アリババ(Alibaba Group Holding)の子会社であるアリババクラウド(Alibaba Cloud)との戦略的提携を発表した。また、ルネサスの32ビットマイコン「RX65N」「RX651」について、アリババのIoT(モノのインターネット)デバイス向け組み込みOS「AliOS Things」のサポートを始めるとともに、中国におけるオンライン販売チャネルを拡張し、アリババのIoTエコシステムにも参加する。
ルネサス製品のうち16ビットマイコンである「RL78ファミリ」は、既にAliOS Thingsのべーシックバーションをサポートしている。今回、RX65NとRX651は、AliOS Thingsのアドバンストバージョンをサポートすることになる。これにより、RX65NとRX651を搭載するIoTデバイスがアリババクラウドに容易に接続できるようになる。また、RX65NとRX651はルネサスのトラステッドセキュアIP(TSIP)を内蔵しており、IoTデバイスに求められる高度なセキュリティを確保できるとしている。
今回の発表に合わせてルネサスは、アリババ傘下の中国の大手ショッピングサイトTmall内にフラグシップ店をオープンした。同店では、汎用の半導体製品に加えて、AliOS Thingsのコーナーを設けている。
さらにルネサスは、アリババが主導する「Alibaba Cloud University」と「ICA(IoT Connectivity Alliance)」の活動に参画し、AliOS Thingsなどのエコシステム構築を支援する。Alibaba Cloud Universityを通して、IoTデバイス開発に関するオンラインとオフラインのコースを設ける予定。また、ICAメンバーとの協力によるアライアンス規格の策定の他、中国や国際的なIoT規格の策定によりIoT市場のさらなる発展に貢献するとしている。
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