リコールで営業利益が計画から半減、折れるバルブスプリングは材料への配慮不足:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
SUBARU(スバル)は2018年11月5日、東京都内で2018年4〜9月期(2019年3月期第2四半期)決算を発表した。売上高は2018年8月に発表した計画をわずかに上回ったものの、前年同期比では7.5%の減収だった。利益面では大規模なリコール費用が影響し、営業利益や当期純利益は計画と前年同期の実績を大きく下回った。
「サプライヤーではなく当社の設計に問題」
バルブスプリングのリコールに関しては、国内外ともに改修作業の開始から1年以内に終わらせたいという考えを示した。バルブスプリングの交換に当たっては、エンジンをクルマから降ろし、ヘッドを分解するため、1台当たり12〜13時間を要する。米国の販売店からは、作業時間の負担や、長時間の作業によるブランドイメージ低下を懸念する声が上がっているという。現在、作業の支援について、スバルで施策を検討している。
バルブスプリングが折損する原因究明や、どのような対策が本当に効果があるのかを検証することに時間を要したことが理由となって、生産から5年以上経過した今、リコールを実施する格好になった。「折損が起きる時に、バルブスプリングの材料に含まれる異物と、部品にかかる荷重が、どのように関連するのか検証が難しかった。本当に原因を解決できるのか分からない部品では混乱を招くため、リコールを早期に実施するのが難しかった」(スバル)という。原因究明を経て、効果が大きい対策品が確立できたことからリコールの実施に至った。
バルブスプリングの折損は、スバルの設計に問題があって起きた。一般に鉄系の金属材料にはジルコニアやシリコンなどの異物が混入している。本来は、材料の性質に配慮して不具合の起きない設計をすべきだったとしている。販売店などからの情報でバルブスプリングの折損を把握した以降は、バルブスプリングの強度向上や生産のばらつきの管理、材質の変更などを実施してきた。
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