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バネが設計できない人はいますぐ確認! 「ばね限界値」甚さんの「技術者は材料選択から勝負に出ろ!」(9)(1/3 ページ)

銅や樹脂の強度は、「0.2%耐力」で示す。「ばね限界値」は、それとよく似ているけれど、何が違うのか。

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当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生のイマドキな若者。機構設計者。通称、良君


これを知らないということはアルミ材料を選べない

甚笑

しっかしようぉ、良君。何度も言うがよぉ、「これを知らないということはアルミ材料を選べない!」というせりふには、職人としても感心したぜぃ! あっぱれだぁ、成長したなぁ!


良どや

アルミ材料の選択で必須の「目利き力」は、「疲れ強さ」ですよね。図1を見てみましょう。同じアルミ材料といっても、その「疲れ強さ」には、大きなばらつきがあります。実は、さすがの僕でもばらつきまでは知らなかったんです。



図1 アルミ材料の「疲れ強さ」について(「ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ」日刊工業新聞社刊より)
甚

最近のオメェはていしたもんだ。「頑張れ、日本。頑張れ東北」ではなく、まずは、自分が頑張る――よくこれを実践しているなぁ。感心、感心! それにしても日本の電機メーカーは元気がねぇよなぁ!


良

でも甚さん、実は前回……、ぎくっ! っとしたところがあったんです。それは……「折れたから強くしました」というところです。


 前回、甚さんはこんなことを言っていました。

『職人ならよぉ、「強度を上げる」という概念じゃなくてよぉ、数値で答えろってんだ』


 「強度を上げる」とは、以下の単位系を有する「特性値」を上げるということでしたね?

  1. 引張り強さ(前項で解説):単位はN/mm2など
  2. 降伏点(前項で解説):単位はN/mm2など
  3. 疲れ強さ(前項で解説):単位はN/mm2など
  4. 0.2%耐力(本項で解説):単位はN/mm2など
  5. ばね限界値(本項で解説):単位はN/mm2など

 設計審査(デザインレビュー)にて、設計者も審査員も、上記の1から5に示す単位系を使って軸の強度を上げた、と説明や質問をしなくてはなりません。

良

甚さん、そうですよね。テレビショッピングで、「お安くしておきました!」なんて言うと、お客さまは「品質を落とした」と思うそうですよ。だから……。


甚

例えば「足が折れたタラバガニ」とかなら、「訳あり」で「お安くしておきました!」って理由を消費者にキチンと伝える時代だな。


「0.2%耐力」と「ばね限界値」

良

たとえが具体的ですけど、甚さんも、テレビショッピングよく見るんですか? 意外ですね〜。


甚

オイラじゃねぇよ。うちのカミサンがよく見てんだよぅ。そんじゃよぉ、「引張り強さ」「降伏点」「疲れ強さ」と解説してくれたからよぉ……。次は、「0.2%耐力」と「ばね限界値」の解説を頼むぜぃ!


良皮肉

ギクーリ(汗)


甚

ドッ、どうした、良君。顔色が悪いぞ? あん? 失恋でもしたかぁ?


良ふん

……む、昔から「ニッパチ」と言いまして、ヒマだったり、景気が悪かったりする2月と8月のことを意味しますけども……、その〜……、僕の場合、なぜか逆に2月が忙しくて……ですね、ちょっと、疲れていたりしまして……。


 前回も見栄を張ってしまった良君ですが、本当は「0.2%耐力」と「ばね限界値」を知らないのです。

甚

そうだったのかぃ。忙しいときこそ、まずはストレス解消だぜぃ! そんじゃよぉ、アキバの手羽先屋は飽きたからよぉ、両国にちゃんこ鍋でも食いにいくかぁ、あん? 最近、寒いしなぁ〜。


良

フゥ……、ちゃんこですか、そうですね……、行きたいですね……。いつ行きましょう……。


甚

「それは、あなたが、決めることです」。


良泣

もう「家政婦のミタ」は終わりました……。そんなこと言っている場合ではないんです……。


甚

おいおい、本当に元気ねぇじゃねぇかい。そんじゃよぉ、オレサマが解説すっか? あん?


良皮肉

(心の声)……シメシメ、うまくいったぞ。ところで、僕っていつからこんな悪知恵が働くようになったんだろう? まずいなぁ。


甚

良君も前回説明していたがよぉ、「応力−ひずみ線図」で、明確な「降伏点」を持たないアルミ材は、「降伏点」の代用としての「目利き力」に「疲れ強さ」が存在するんだ。そして、銅や樹脂はよぉ……。


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