数十秒で出力できる3D造形装置、東大とJSTが開発:3Dプリンタニュース
東京大学と科学技術振興機構(JST)は、数秒から数十秒で出力でき、素材も再利用可能な3次元物体造形装置「Dynablock」を開発した。色や質感や形が動的に変わる機能性を持つ物体の造形や、3次元実体ディスプレイへの応用を目指す。
東京大学と科学技術振興機構(JST)は2018年10月11日、数秒から数十秒で出力でき、素材も再利用可能な3次元物体造形装置「Dynablock(ダイナブロック)」を開発したと発表した。本成果は同大学大学院情報理工学系研究科 准教授の川原圭博氏らの研究グループによるものだ。
研究グループは、立体の造形が瞬時にでき、素材を再利用できる「ダイナミック 3Dプリンティング(動的な3次元立体造形)」を提案。同手法では装置内に積み重ねられたブロックを、2次元状に並べられたリニアアクチュエーターアレイを使って上向きに押し出し、ブロック同士を自動結合する。
また、出力される3次元物体の断面を1層ずつ一度に押し上げて造形するため、数層程度の造形物を数秒から数十秒で造形可能だ。必要がなくなった造形物は、押し下げるとブロック同士の結合が離れ、素材を再利用できる。
この提案手法のプロトタイプとして、9mmのブロック約3000個を使い、任意の3次元形状を出力できるDynablockを開発した。ブロックは8層にわたり積み重ねられ、24×16個のアクチュエーターで下から押し出される。個々のブロックに磁石が埋め込まれており、水平方向および垂直方向に結合可能だ。
今後は、個々のブロックの内部にセンサーやLED、ICチップなどを組み込み、状況に応じて色や質感や形が動的に変わるような機能性を持つ物体の造形や、3次元実体ディスプレイへの応用を目指す。
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