シーメンスが積層造形サービスをプラットフォーム展開「出力の試行錯誤は不要」:3Dプリンタニュース(1/2 ページ)
シーメンスPLMソフトウェアは、米国ボストンで開催したプレス・アナリスト向けイベント「Siemens Industry Analyst Conference 2018」において、積層造形関連の取り組みについて説明した。
シーメンスPLMソフトウェアは、米国ボストンで開催したプレス・アナリスト向けイベント「Siemens Industry Analyst Conference 2018」(2018年8月27〜30日、現地時間)において、積層造形(AM:Additive Manufacturing)関連の取り組みについて説明した。
シーメンスはグループ全体で、トポロジー最適化技術を用いた3Dデータの作成から、シミュレーション技術による金属や複合材料を用いた最適な積層造形プロセスの構築、積層造形を実際に行う機器やソフトウェア、サービスビューローなどのパートナー企業が加盟するエコシステムなどを1つのプラットフォームで利用できるサービスの提供目指している※)。サービスの名称は「Additive Manufacturing Network」で、現在は数社の顧客企業と先行実証を進めている段階だ。
※)関連記事:シーメンスが注力する積層造形ソリューション、「パートナーとの協力を重視」
シーメンスは、「バーチャルプロダクト」「バーチャルプロダクション」「リアルプロダクション」「リアルプロダクト」の4段階から構成される「デジタルツイン」を包括的(Holistic)にカバーしていることを訴求しているが、Additive Manufacturing Networkでもそれは同じだ。まず、デジタル世界で設計を行う「バーチャルプロダクト」のプロセスでは、3D CADツール「NX」を用いて、積層造形でしか作れない、もしくは積層造形という製造プロセスに合わせた設計を行う。なお、3D CADデータについては、同社の「Solid Edge」を含めてNX以外のツールにも対応できるようにしていく方針である。
次の「バーチャルプロダクション」では、シミュレーション技術を活用することにより積層造形のプロセスを作り込んでいく。シーメンス デジタルマニュファクチュアリングソフトウェア マーケティング担当シニアディレクターのアーロン・フランケル(Aaron Frankel)氏は、「特に金属を用いた積層造形は、使用する材料や設計した形状などに合わせた最適なプロセスを構築しておかないと、何度も試行錯誤する(Try and See)ことになる。当社のシミュレーション技術を活用すれば、一度の出力で最適なモノを作り出せる(First-Time-Right)」と語る。
「リアルプロダクション」では、実際に行われる積層造形プロセスの管理や、遠隔地のサービスビューローなどを使うときのセキュアなデータの管理、残留パウダーやサポート材の除去、切削加工など後処理の自動化により、試作開発にとどまらない「リアルプロダクト」の量産まで視野に入れたサービスを構築していく。
これら積層造形に関わるデジタルツインを、クラウドをベースにした1つのプラットフォーム上で一気通貫に提供するのがAdditive Manufacturing Networkになる。
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