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大容量バッテリーだけではない、アウディ量産EVの走行距離400kmへの積み重ね電気自動車

Audi(アウディ)は2018年9月18日(現地時間)、SUVタイプの電気自動車(EV)「e-tron」を世界初公開した。ブリュッセル工場で生産し、2018年後半から欧州向けに納車を開始する。ドイツにおけるベース価格は7万9900ユーロ(約1046万円)となる。

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SUVタイプの電気自動車(EV)「e-tron」を世界初公開(クリックして拡大) 出典:アウディ

 Audi(アウディ)は2018年9月18日(現地時間)、SUVタイプの電気自動車(EV)「e-tron」を世界初公開した。ベルギーのブリュッセル工場で生産し、2018年後半から欧州向けに納車を開始する。ドイツにおけるベース価格は7万9900ユーロ(約1046万円)となる。

 大容量の駆動用バッテリーを搭載するだけでなく、エネルギー回生や空力性能の向上、バッテリーとモーターのサーマルマネジメントの工夫などにより、走行距離はWLTPモードで400km以上を確保した。最大出力150kWの急速充電に対応する。2019年半ばから、車両の購入後に、ヘッドランプの制御や運転支援システム、インフォテインメントシステムについて新しい機能をオンラインで追加購入できるサービスも始める。

 2019年に投入する「e-tron Sportback」を含め、2025年までにEV12車種を発表する予定だ。Porsche(ポルシェ)とはB〜Dセグメント向けのEV専用プラットフォームの共同開発も進めている。プラグインハイブリッド車のラインアップ拡充も進め、販売台数に占める電動化モデルの比率を全体の3分の1まで引き上げる。

走行距離400kmへの積み重ね

 車両サイズは全長4901×全幅1935×全高1616mmで、ホイールベースは2928mm。乗車定員は5人となる。駆動用モーターをフロントとリアに搭載した四輪駆動システムで、通常走行時はリアの駆動用モーターをメインで使う。バッテリーの容量は95kWhで、重量にして700kgに相当するという。システムは、ブーストモードで最高出力300kW、最大トルク664Nmを発揮する。

e-tronの外観(クリックして拡大) 出典:アウディ

 駆動用モーターの最高出力は、フロントで125kW、リアで140kWとなる。最大トルクはフロントで247Nm、リアで314Nmだ。最長で60秒間にわたってピーク性能を発揮し続けることができるという。ブーストモード使用時は2つの駆動用モーターの出力とトルクを増加させる。

 400km以上の走行距離を確保する上で大きな役割を果たすのは、エネルギー回生システムだとしている。0.3Gまでの減速では、油圧ブレーキを使用せず駆動用モーターの回生によって行う。これにより走行中に減速する場面の90%以上で減速エネルギーを回収する。時速100kmから制動する場合、最大で220kWの電力を回生できるという。0.3Gを超える急な減速ではブレーキが作動する。この電動油圧ブレーキは従来の半分の時間で制動圧を最大まで高めることができる。自動ブレーキが作動するまでの時間を短縮するとともに、制動距離は従来比で最大20%縮める。


サイドミラーの代わりにカメラとディスプレイを用いる「バーチャルエクステリアミラー」をオプション設定とした(クリックして拡大) 出典:アウディ

 走行距離の確保には空力の改善も貢献した。ボディー全体の空力対策により、空気抵抗係数(Cd値)を従来モデル比で最大0.08改善し、40km分の走行距離を延長する効果を発揮するとしている。また、オプション設定となる「バーチャルエクステリアミラー」も、サイドミラーの代わりにカメラとディスプレイを用いることで空気抵抗を低減。Cd値を0.01下げる効果があり、日常的な運転環境では走行距離が5km伸びるという。バーチャルエクステリアミラーは、高速走行時、旋回時、駐車時に自動で映像の表示を調整する。

 バッテリーシステムは、e-tronのボディーサイズに合わせて最適化し、室内の床下に配置している。アルミニウム製のハウジングに36個のセルモジュールで構成されている。バッテリーシステムの外形寸法は長さ2.28×幅1.63×高さ0.34mとなる。重量700kgのバッテリーシステムを床下に固定したことにより、ボディーのねじり剛性は従来のSUVと比較して45%向上している。

 サーマルマネジメントシステムは、駆動用モーターの関連機器の冷却のため、全長40mの冷却ラインに22l(リットル)のクーラントを循環させる。モーターのシャフト、ステーターとエンドシールドを水冷とし、ローター部にもクーラントを通した。駆動用モーターの廃熱は暖房やエアコンに再利用している。

充電の利便性向上も

 e-tronは、量産モデルとして世界で初めて、Combined Charging System(コンボ、CCS)が展開する出力150kWの急速充電に対応した。この高出力型の急速充電ステーションは2018年末までに200カ所以上に設置される計画だという。このほかにも、11〜22kWの普通充電にも対応している。アウディを含む欧米自動車メーカーが設立した合弁会社「IONITY」では、2020年までに主要な幹線道路沿いの400カ所で、1度に6台が充電できる急速充電ステーションを整備する計画で、今後も充電インフラの充実が進んでいく。

 欧州向けには、充電ステーションの利用に必要な手続きを簡略化するチャージングサービスを展開する。事前にアウディのポータルサイトに登録し、個別の充電契約を締結しておくと、会員カードでさまざまな形式の充電ステーションを簡単に利用できるというサービスだ。利用料金は、ポータルサイトのアカウントに課金されるため、現金による支払いが不要になる。2019年からは、充電ステーションにクルマを停車するだけで認証が行われ、ステーションのロックが解除される機能も導入する。

 このアウディのポータルサイトは、インフォテインメントシステムや運転支援システムの機能を追加購入するための申し込みや支払いも担う。オンデマンドの追加機能購入は、月単位や年単位から、永続的な使用まで選択できる。

 運転支援では、群知能(スワームインテリジェンス)を活用したC2Xサービスをe-tronに搭載する。この機能に対応したクルマは駐車スペースへの出入りをシステムに報告するため、駐車スペースの空き状況を予測することが可能になるとしている。また、霧の発生や路面の凍結といった情報も対応モデルで共有することができる。

 運転支援システムの周辺環境の認識には、カメラやミリ波レーダーの他、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を使用する。これらのセンサー情報の処理は、フラグシップセダン「A8」と同じコントローラー「zFAS」で行う。

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