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日中共同による急速充電新規格は、世界標準となるのか和田憲一郎の電動化新時代!(29)(1/3 ページ)

EV(電気自動車)用の急速充電仕様について新たな動きが出てきた。日本と中国の共同検討によって急速充電の新規格を策定する動きである。既に市場で固まってしまったように見える急速充電規格であるが、なぜ今になって新たな規格作成なのか。狙いや、具体的な統一方法、さらには実施時期や市場をどう考えるのか。まだ仕様が固まらないと思われる中で、関係者にインタビューを敢行した。

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 これまでとは想定外の動きである。2017年2月20日掲載の記事「国際標準となったCHAdeMOのジレンマ、高出力化とコストの兼ね合い」で述べた通り、急速充電規格はCHAdeMOでも高出力に対応しようとしている。しかし、それとは別に新たな動きが出てきた。世界で最も普及しているCHAdeMO規格に対し、EV(電気自動車)の普及が著しい中国から、今後の急速充電規格について、新たな統一規格を作りたいとの提案があったようだ。

 その狙いや、具体的な統一方法、さらに実施時期や市場などについて、まだ仕様が固まっていないと思われる段階ではあるが、CHAdeMO協議会事務局長の吉田誠氏にインタビューを敢行した。

なぜ今、新たな急速充電規格の作成なのか

和田憲一郎氏(以下、和田氏) 中国側からCHAdeMO協議会と共同で急速充電に関する新規格作成の話があったと仄聞(そくぶん)している。なぜ今なのか。またどのような背景があったのか教えてほしい。

吉田氏 最初に今回の建て付けを説明したい。中国側から話があったのは、現在われわれが使用している急速充電器の話ではなく、超高出力規格、具体的に言えば350kW以上についての話である。超高出力化についてはCombined Charging System(コンボ)も含め各団体が検討しているが、高出力化をしようとすればするほど、現行のコネクターが使用出来ないなどの懸念が出てきた。このため、2018年初めより、中国側から今後ニーズが望まれる超高出力の新規格を日中共同で作らないかと提案があった。

 出力が350kW以上となると、どのようなものが対象になるかといえば、駆動用バッテリーの大容量化が進む乗用車タイプのEVがあるが、それ以外にも近年普及拡大しているEVバスやEVトラックが考えられる。さらに、重機や飛行機も将来想定されるのではないだろうか。CHAdeMO協議会は、前回お話ししたように、現行の50kWから、350KWレベルまで対応すべく技術検討を行ってきた。しかし、今後の商用車や重機、飛行機の電動化なども考えると400kWプラスアルファの領域が必要となってくる。

 中国側は新規格を作る上で、GB/Tが通信規格としてCANを使用していることから、同じくCANを使用するCHAdeMO規格との連携を考えたようだ。なぜ彼らもCANにこだわるかといえば、バックワードコンパチビリティ、つまり既に設置した急速充電器を引き続き使用したいとの考え方が背景にある。これはわれわれも同じである。


図表1:急速充電器の適用範囲の拡大(クリックして拡大) 出典:CHAdeMO協議会

CHAdeMO規格と中国GB/T規格、さらに新規格の違いは

和田氏 状況は分かったが、現在のCHAdeMO規格、中国GB/T規格、さらに急速充電新規格の違いについて教えて欲しい。

吉田氏 CHAdeMO規格はご存じのように、世界で先行してきた。全世界で1万8000基余り設置されている。その後、中国はGB/T規格を出してきた。違いはCAN通信のSAE規格とピン配置などである。出力は、CHAdeMO規格が最大400kWに拡張したのに対し、中国GB/T規格は約240kWにとどまっている。つまり、CHAdeMO規格と中国GB/T規格は極めて近いものがある。

 このような中で、急速充電新規格は最大900kW(1500V×600A)まで上げることを狙っている。通信方式はCANを維持し、DC充電ピンサイズの拡大や、ピンを中空にして液冷とするなど技術的にも大きな変更を考えている。

 CHAdeMO協議会としては、CHAdeMO仕様のコアプロトコルである通信規格(CAN)や二重絶縁構造など基本的な要件を守ってくれること、さらにバックワードコンパチビリティを守っていくことが中国側と合意されたため、今回の急速充電新規格を共同で検討していくことを決めた。まだ最終仕様は固まっていないが、出力は350kW〜最大900kWを想定している。


図表2:急速充電規格の違い(クリックして拡大) 出典:CHAdeMO協議会

図表3:CHAdeMOが考える拡張時の方針(クリックして拡大) 出典:CHAdeMO協議会
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