多品種少量生産を限りなく自動化に近づけるオムロン綾部工場の取り組み:オムロン 綾部工場レポート(後編)(4/4 ページ)
オムロンはモノづくり革新コンセプト「i-Automation」のモデル工場である京都府の綾部工場を公開。本稿では新たなモノづくりの実現に向け、自社実践を行う綾部工場での現場の取り組みをお伝えする。
現在進行形で取り組む「知能化」
これらの既に成果が生まれつつある「intelligent(知能化)」などに対し、現在進行形で新たな取り組みなども進めている。1つが、スマート流量センサーを活用した機器の予知保全である。射出成形機の状態によって冷却水の流量と温度が変化することから、その情報を分析することで、射出成形機の故障予知を行うというものである。現在予期せぬ停止時間が月450分程度あるとするが、これをゼロにすることを目指している。
近接センサーによる位置ずれを抑えた品質向上
近接センサーの製造ラインでは、同センサーを用いて、巻き線を設置した位置ずれを抑え品質向上を実現する取り組みも行っている。ロボットによる配置のずれが品質に影響することが分かったことから、近接センサーで情報を把握し、ずれ幅が一定レベルに達すると保全を行うという仕組みだ。これによりチョコ停の削減を目指している。
複数工程をAIにより多次元に理解し予防保全
同社のAIコントローラーを使い、現場での多次元項目の分析により、総合的な生産性向上に取り組んでいるのが投光用モジュールのアライメントの製造工程である。ここでは、定期的な保全を実施してきたが突発的な故障や過剰保全が発生しており、これらを抜本的に解決する取り組みを行っている。
具体的には、シリンダー、ボールねじ、吸着ハンドの3つの情報を監視し、これらをAIコントローラーで多次元的に分析することで、予防保全を行うというものだ。「工場では複数の製造装置が組み合わさって工程を作っており、要因は個々の機器だけではない可能性がある。これらを現場で分析できるようにする」(説明員)としている。
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