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オムロンが描くスマート工場の将来像と3つの独自性製造業×IoT キーマンインタビュー(1/3 ページ)

IoTによるスマートファクトリー化が大きな注目を集める中、豊富な制御技術製品群に加えオープン化対応やM&Aなどを通じ力を蓄えてきたのがオムロンだ。制御技術と情報技術の融合が加速する中、オムロンは何を考え、どの方向に進むのか。オムロン 執行役員副社長 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の宮永裕氏に戦略を聞いた。

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 スマートファクトリーへの関心が高まる中、製造現場でのIoT(モノのインターネット)活用が広がりを見せている。その中で製造現場で活躍する豊富な制御機器群を抱え、IoT対応や標準技術の採用、AI機能導入などにいち早く取り組みを進め、存在感を高めているのがオムロンである。

 オムロンでは以前から「センシング&コントロール+Think」を価値として、20万種にも及ぶ制御機器を展開し「Input(入力)」「Logic(制御)」「Output(出力)」「Safety(安全)」などの幅広い領域をカバーする製品群を保有する。さらにこれらを活用しモノづくり現場全体を革新するコンセプトとして「i-Automation」を提唱してきた。「i-Automation」の「i」は「Innovation(革新)」の意味で、製造現場の自動化を革新するという取り組みである。これを実現するために「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の協調)」の3つの方向性での取り組みを進めてきた。さらに2017年8月にはIoTサービス基盤「i-BELT(アイベルト)」の立ち上げなども発表(※1)するなど、新たな動きを矢継ぎ早に示している。

 これらの動きはどういう狙いで生まれているのだろうか。オムロン 執行役員副社長でインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の宮永裕氏にIoTおよびスマートファクトリーへの取り組みについて話を聞いた。

(※1)関連記事:オムロンが立ち上げるのは“標高10m以下”の最もエッジ寄りなIoT基盤

本連載の趣旨

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ITmedia産業5メディア総力特集「IoTがもたらす製造業の革新」のメイン企画として本連載「製造業×IoT キーマンインタビュー」を実施しています。キーマンたちがどのようにIoTを捉え、どのような取り組みを進めているかを示すことで、共通項や違いを示し、製造業への指針をあぶり出します。
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ドイツのインダストリー4.0が大きなきっかけ

MONOist オムロンは、インダストリー4.0やスマートファクトリー化、IoT対応などへの動きに積極的で、ここ数年の取り組みが布石としてはまってきている印象があります。こららの大きな動きをどこまでイメージできていたのでしょうか。

宮永氏 基本的には、日本の製造業やモノづくり現場は、柔軟で無駄のない製造現場を目指してきたわけで、そういう意味では部分部分の取り組みは既に以前からできていた。しかし、全体的な考え方を統合してくれた1つのきっかけとなったのは、ドイツの「インダストリー4.0(※2)」だ。

(※2)関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】

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オムロン 執行役員副社長でインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の宮永裕氏

宮永氏 インダストリー4.0に対し、日本の製造業では「既に日本で実現できていることと何が違うのか」という人も多かったが、各社の中でどこまで整理できていたのかは多少疑問に感じるところがある。

 オムロンでももともとモノづくりにIT(情報技術)が大きな影響を与えるようになるということは見据えていた。そのため、従来の制御機器の役割である「センシング&コントロール」にノウハウやソフトウェアを加えた「センシング&コントロール+Think」というコンセプトを訴えてきた。ただ、それをもっと大きなムーブメントにして、新しいビジネスモデルや、モノづくりのコンセプトに昇華してきたかというとそうではなかった。そういう意味ではインダストリー4.0は良いきっかけになったと捉えている。

 こうしたインダストリー4.0などの動きを見据え、オムロンなりの解釈で総合的なコンセプトとして昇華させたのが「i-Automation」となる。「integrated(制御進化)」「intelligent(知能化)」「interactive(人と機械の協調)」の3つの方向性で取り組みを進めていくというものだ。これは、顧客の変化や技術の変化、そしてオムロンのユニークネス(独自性)という3つを考え合わせて作ったものだ。

 具体的には、「制御進化」は制御技術を進化させて機械による高速化、高精度化を追求し生産性を向上させる取り組みで、従来の制御機器をさらに高度化するための取り組みだ。「知能化」はデータを収集して統合し、解析を行うことで新たな革新に導く取り組みで、情報技術などを活用し予兆保全や官能検査を機械で実現することとなる。「人と機械の協調」については、機械が人の能力を支援し拡張する仕組みである。こうした方向性を取りまとめる動きは2014年頃から取り組み、2016年には「i-Automation」の姿ははっきり固まってきた。

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