冷凍機の故障を予知、予防保全でメンテナンスコストを25%削減:製造IT導入事例
ニチレイロジグループ本社と日立製作所は2018年8月28日、IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転、メンテナンスの効率化に向けた共同実証を2018年9月から開始することを発表した。
ニチレイロジグループ本社(以下、ニチレイロジグループ)と日立製作所は2018年8月28日、IoT(モノのインターネット)技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転、メンテナンスの効率化に向けた共同実証を2018年9月から開始することを発表した。
共同実証では、日立グループのビッグデータ解析技術や音解析技術、予兆診断技術を組み合わせたシステムを、ニチレイロジグループ船橋物流センター内の冷凍設備に導入する。設備の稼働データを収集、蓄積、分析することで、故障の予兆診断と設備運転の効率化を進める狙いだという。
冷凍食品や生鮮食品などを低温で流通させるコールドチェーンにおいて、冷凍倉庫は重要施設である。冷凍倉庫内にある保管品の品質を維持するために冷凍設備の安定稼働が不可欠だが、現状は熟練技術者が巡回し、倉庫内環境や設備の計器などを目視で確認しながら冷凍設備の運転管理や設定操作を行っている。そのため、熟練技術者のノウハウ伝承や設備の突発障害回避、消費エネルギーやメンテナンスコストの低減などが課題となっていた。
こうした中、食品分野のコールドチェーンサービスを展開するニチレイロジグループと、冷凍設備に関するノウハウを持ちIoTプラットフォーム「Lumada」を提供する日立製作所グループは、協力しIoT技術を活用した冷凍設備の故障予兆診断と運転、メンテナンスの効率向上を実現するシステムを開発した。
開発したシステムは、日立の「Lumada」ソリューションコアである統合エネルギー設備マネジメントサービス「EMilia」をベースに、冷凍設備の各種センサーから収集、分析したビッグデータをクラウド環境に蓄積。この蓄積データを、音解析技術、日立アプライアンスが提供する予兆診断技術を組み合わせ、故障の予兆を検出する。また、エネルギー消費の見える化と運用改善分析を行えるため、冷凍設備の高効率運転支援を行う。
故障予兆に基づいた適正なタイミングでの予防保全が可能となるため、メンテナンスも効率化でき、運用およびメンテナンスの両業務で、熟練技術者不足の課題解決に貢献することを目指す。
今回、シミュレーションで従来に比べて冷凍設備の運用およびメンテナンスに関わるコストを約25%低減できる見通しを得たことから、実際の物流センターでの共同実証を2018年9月から実施することを決めた。
共同実証では、ニチレイロジグループ 船橋物流センター内の冷凍設備6台を対象にシステムを導入し、効果を検証する。ニチレイロジグループは、共同実証で得た成果をもとに、2019年度から国内拠点の約140カ所、約870の冷凍設備に今回のシステムの導入を進めていく計画だとしている。
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