勝ち負けではなく「生きるか死ぬか」、デンソー、アイシンらで新会社設立:製造マネジメントニュース
デンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの4社は2018年8月27日、自動運転の統合制御用ECU(電子制御ユニット)のソフトウェアを開発する新会社設立の検討開始に合意したと発表した。出資比率はデンソーが65%、アイシン精機が25%、アドヴィックスとジェイテクトが5%ずつとなる。また、同日付で、アイシン精機とデンソーは、電動車の駆動モジュールを開発、販売する新会社を折半出資で設立することも公表した。
デンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの4社は2018年8月27日、自動運転の統合制御用ECU(電子制御ユニット)のソフトウェアを開発する新会社設立の検討開始に合意したと発表した。出資比率はデンソーが65%、アイシン精機が25%、アドヴィックスとジェイテクトが5%ずつとなる。また、同日付で、アイシン精機とデンソーは、電動車の駆動モジュールを開発、販売する新会社を折半出資で設立することも公表した。
2つの新会社は、詳細を詰め、国内外の独占禁止法の審査を受けた上で、2019年3月の設立を目指す。
今回、連携に至った背景には、「勝ち負けではなく生きるか死ぬか」が懸かった、100年に1度といわれる環境の変化と競争激化の中で、4社の総力を結集して自動運転車と電動車の普及に貢献しようとする狙いがある。
これまではセンサーやステアリング、ブレーキそれぞれにECUが付属していた。一方、自動運転車は、走る、曲がる、止まるに必要なセンサーや、ステアリング、ブレーキを、システムとして高度に連携させるための統合制御ECUが必要になる。
大規模かつ複雑な制御ソフトウェアの開発に対応するため、4社が持つ自動運転技術や車両運動制御に関する技術や知見を持ち寄る。新会社は、株主である4社から受託する形で制御ソフトウェアの開発を行う。開発した制御ソフトウェアは4社に供給し、自動車メーカーにコンポーネントと統合ECUをセットで納入できるようにする。
アイシン精機とデンソーの折半出資で設立する新会社は、トランスアクスルとモータージェネレーター、インバーターをパッケージ化した駆動モジュールを手掛ける。ここでも両社が持つ強みを結集するとしている。
ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車といった幅広い電動化ニーズに対応できるラインアップをそろえる方針だ。電気自動車の市場が急拡大することが見込まれる中国を始め、世界各国への展開を目指す。この新会社では、自動車メーカーのエンジンに合わせる適合開発まで含めて対応する。アイシン精機とデンソーは、新会社が開発した駆動モジュールの生産を受託する。
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