パナソニックの第1四半期決算は増収増益も曇り空、家電部門が苦戦:製造マネジメントニュース
パナソニックは2018年7月31日、2019年3月期(2018年度)第1四半期の決算を発表。車載用電池や家電製品が苦戦したものの、増収増益を実現した。
パナソニックは2018年7月31日、2019年3月期(2018年度)第1四半期の決算を発表。車載用電池や家電製品が苦戦したものの、増収増益を実現した。
全事業部門で増収増益を達成
パナソニックの2018年度第1四半期決算(4〜6月)は、売上高が前年同期比8%増の2兆87億円、営業利益が同19%増の1000億円、税引前利益が同25%増の1022億円、当期純利益が同18%増の574億円という結果となった。
ただ、セグメント別では、主要4カンパニーの内唯一、家電製品などを扱うアプライアンス社が売上高で前年割れとなった他、営業損益ではコネクティッドソリューションズ社を除いて3社が減益となっている。全体での「増益」の達成要因は、名古屋市の工場跡地を長谷工コーポレーションに売却した譲渡益によるもので、決して手放しで喜べる結果ではなかった。
特に想定外の減益要因となったのが、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の車載電池事業と、アプライアンス社のエアコンおよびAVC事業である。
車載電池事業は大きな影響をおよぼしているのがTesla(テスラ)向けの電池である。テスラは量産型の電気自動車(EV)「モデル3」の生産立ち上げに失敗し、テスラ向けで電池供給を行うパナソニックにも大きな影響が生まれていた。ようやく2018年7月に当初から目標にしていた週5000台の生産目標に到達し、本格的に量産できる状況に入ったが、その遅れと立ち上がりにあわせた投資が減益要因となった。
一方のエアコン事業では、中国向け、台湾向けなどは好調だったものの、その他のアジア向けや国内向けが苦戦。国内は商品力で競り負けたとし、想定外の減益要因となった。同様にAVC事業でもテレビは増収増益となったものの、BD(Blu-ray Disc)レコーダーが国内で苦戦し同様に減益要因になったという。
パナソニック 常務執行役員でCFOである梅田博和氏は「第1四半期は車載電池の先行費用に加えて家電販売が苦戦した。第2四半期以降では車載電池販売が拡大し、増益をけん引する見込み。その他部門は合理化などを推進する他、競争力強化への取り組みを進める」と考えを述べている。
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