車載用“角形”電池でもトップに、パナソニックがトヨタの電池パートナーに名乗り:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車とパナソニックは、車載用バッテリーについて協業の可能性を検討する。両社で高性能リチウムイオン電池や全固体電池を開発する。パナソニックはテスラに供給する円筒形だけではなく角形でも車載用電池で業界ナンバーワンを目指す。トヨタ自動車は2030年までに電動車の販売を2016年比3.7倍に増やしていく中で、パナソニックと協力して電池の競争力向上と安定供給を実現していく。
トヨタ自動車とパナソニックは2017年12月13日、東京都内で会見を開き、車載用バッテリーについて協業の可能性を検討すると発表した。
両社で高性能リチウムイオン電池や全固体電池を開発する。パナソニックはテスラに供給する円筒形だけでなく角形でも「車載用電池の業界ナンバーワン」(パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏)を目指す。トヨタ自動車は2030年までに電動車の販売を2016年比3.7倍に増やしていく中で、パナソニックと協力して電池の競争力向上と安定供給を実現していく。生産面に関して、トヨタ自動車とパナソニックの共同出資で設立したバッテリー生産会社のプライムアースEVエナジー(PEVE)を含む生産体制の在り方は、今後具体的に検討する。
トヨタ自動車とパナソニックの間に限定しないオープンな協業としていく。
角形に絞った理由は
津賀氏はパナソニックが今後チャレンジすべき車載用バッテリーが角形であると説明した。「今、EV(電気自動車)という視点だけに絞れば、『18650』など円筒形が強い。われわれはそれをテスラに供給してきた。これは今現在の話にすぎない。将来を見たときに伸びしろはどこにあるか、自動車メーカーの電動化の中で必要とされる電池は何かと考えると、角形になる。角形で高容量と安全性を両立していく。クルマを設計しやすいバッテリーの形にしていくのは挑戦となるが、パナソニック単独ではできない。トヨタと一緒にチャレンジしていく」(津賀氏)と、角形を選んだ理由を語った。
トヨタ自動車は、2020年代前半に全固体電池を実用化する目標を発表済みだ。ここにパナソニックがどう関与していくかは今後、詳細を詰める。「トヨタはわれわれ以上に進んでいる」(津賀氏)としつつも、パナソニックも独自で全固体電池の研究開発を進めている。津賀氏はリチウムイオン電池から全固体電池に一気にシフトできるわけではないという見方を示した。「5年先か、10年先か、リチウムイオン電池に限界が来ることは分かっている。それまでに全固体電池にシフトする準備を進めたい。単独で備えるのではなく、協力が必要だった」(津賀氏)。
3.7倍の販売増に対応
会見でトヨタ自動車 代表取締役社長の豊田章男氏は、2030年に販売台数の50%を、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、EV、燃料電池車(FCV)でカバーする目標を示した。台数としては、HVとPHVが450万台、EVとFCVが100万台を見込む。直近ではHVとPHVの販売台数が合計147万台(このうちPHVが5万台)だったことを踏まえると、電動車の販売を3.7倍に増やす計画だ。今回の協業は「これくらいの規模に対応するために大きな舵を切る」(豊田氏)という側面もある。
トヨタ自動車とパナソニックは、1996年にPEVEを設立し、電動車の基幹部品の1つである電源システムの開発に取り組んできた。津賀氏は「(HV「プリウス」を発売した20年前から)相当の期間で増やしてきた電動車の販売を、一気に3倍以上に増やすのは相当な挑戦だ。われわれとしてもひるむことはできない。具体的な数字はまだ明言できないが、お金や人材の優先順位を上げながら、トヨタの思いを支援していく」とコメントした。
豊田氏はEVの普及を決めるのは法規制と電池開発だと説明した。現状は電池開発が法規制に追い付いておらず、「EVは重くて高価な電池を運ぶためのモビリティになっている」(豊田氏)。協業によって”もっといい電池””もっといいクルマ”をつくり、EVの課題を解決していきたいと抱負を述べた。
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