鉛バッテリーはリチウムイオン電池より電動車両に向く?:電気自動車(1/4 ページ)
自動車の電源として単電池で使われている鉛バッテリー。しかしバッテリーフォークリフトのような電動車両では、複数の鉛バッテリーを用いた組電池システムとして利用されている。パナソニックが、コマツのバッテリーフォークリフト用に新開発した「EV鉛蓄電池 組電池システム」は、電動車両への適用をさらに拡大し得る製品だ。
パナソニックは2015年8月21日、東京都内で環境取り組みに関するプレス向けセミナーを行い、同社がコマツのバッテリーフォークリフト用に開発した「EV鉛蓄電池 組電池システム」についての技術解説を行った。同製品は、パナソニックの環境配慮製品を増やす取り組みにおいて、数ある製品の中から3つ選出された「スーパーGP(グリーンプロダクツ)」に選ばれている製品だ。
セミナーには、パナソニックの鉛バッテリー子会社であるパナソニック ストレージバッテリーの商品技術部 部長の吉原 靖之氏が登壇し、鉛バッテリーの市場動向や特徴、最大荷重が2〜2.5トンの中型フォークリフト向けに開発したEV鉛蓄電池 組電池システムの新技術について解説した。
電池市場の半分を占める鉛バッテリー
パナソニックが鉛バッテリーの開発をはじめたのは1935年。1931年に立ち上げた乾電池事業に次ぐ歴史を持っている。リチウムイオン電池など新しい電池が登場する昨今だが、鉛バッテリーはいまだ世界の電池市場の約5割を占めているという。
鉛バッテリーは、内燃機関車の電源などに利用されている「液式鉛」と、電動車両やUPS、通信機器のバックアップ電池などに用いられている「シール鉛」の2種類に分類される。液式鉛は、正極の二酸化鉛と負極の鉛の間を満たすように電解液の希硫酸が入っており、横倒しにすると液漏れが発生するという課題がある。これに対してシール鉛は、正極と負極の間のセパレータに電解液を含浸するとともに、制御弁で密閉状態を作り出すことで密閉状態を実現している。今回解説するEV鉛蓄電池 組電池システムもこのシール鉛が採用されている。
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