ユニバーサルロボットが協働ロボットを10年ぶりに全面改良、性能強化項目は4つ:協働ロボット(2/2 ページ)
ユニバーサルロボットが協働ロボットの新製品「eシリーズ」について説明。10年ぶりの全面改良となるeシリーズは、同社の協働ロボットが評価されてきた「迅速なセットアップ」「柔軟な配置」「簡単なプログラミング」「安全性」の4項目をさらに強化したものとなる。
繰り返し位置決め精度は±0.1mmから±0.03mmに高精度化
eシリーズでは、協働ロボットに求められるこれら4つの項目をさらに強化するためプラットフォームを刷新した。
まず、「迅速なセットアップ」では、ジョイントの交換を短時間で行えるようにした。従来は30〜40分かかることもあったが、eシリーズでは数分で完了するという。また、ロボットアームの先端にフォース/トルクセンサーを内蔵しており、これを利用してグリッパーなどを装着した際の荷重/重心の推定が容易になった。UR+などに用いるシリアル通信ポートは、現行品がロボットコントローラーまでケーブルを延伸する必要があったが、eシリーズはロボットアームの先端に用意されている。ロボットコントローラーのハードウェアも一体化しており、現行品よりもコンパクトで取り回しも良くなった。
「柔軟な配置」で大きな効果をもたらしているのが、システムバスの速度を従来の125Hzから4倍の500Hzに高速化したことだ。「これによりロボットの繰り返し位置決め精度も向上した。例えば、実装基板への部品装着や、バリ取り、研磨などの用途で効果を発揮する」(UR テクニカルサポートエンジニアの西部慎一氏)。例えば、可搬質量が3kgの「UR3e」と同5kgの「UR5e」は繰り返し位置決め精度が±0.03mmであり、現行品の「UR3」や「UR5」の±0.1mmから3倍以上の高精度化を実現している(可搬質量が10kgの「UR10e」の繰り返し位置決め精度が±0.05mm)。
「簡単なプログラミング」と関わるのが、ティーチングペンダントとプログラミング/制御ソフトウェア「POLYSCOPE」の刷新である。ティーチングペンダントのタッチパネルは抵抗膜式から、スマートフォンと同じ静電容量式となり、解像度も1280×800画素と向上した。POLYSCOPEのGUIは、ロボットプログラミングのフローをより簡略化するものとなっている。
そして「安全性」では、ロボット動作の停止までの時間や距離を詳細に決められるようになった。協働ロボットの肘に当たるエルボーの可動範囲をモニターできるようになったことで、新たにエルボーの限界値も設定できる。ロボットアームの先端に取り付けるツールに関わる安全性を確保するため、ツールを中心とする球体で限界値を設定することも可能になった。
今後は、新製品のeシリーズを多くの用途に対応する高付加価値品、現行品のCB3シリーズは実績に裏付けられた標準品と位置付け、2つの製品ラインで展開していく。
なお、CB3シリーズで作成したロボットプログラムはeシリーズに移行できるが、eシリーズからCB3シリーズへの移行はできない。CB3シリーズのPOLYSCOPEのGUIをeシリーズの発表に合わせて刷新する予定もないという。無料オンライントレーニングの「Eラーニング」は、現在の内容がCB3シリーズ向けとなっているため、eシリーズ向けの内容を新たに策定しているところである。
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